病気のしくみを正しく理解しておきましょう 2

[病気に対する正しい知識] 古江増隆 九州大学大学院皮膚科学教授

2016年5月02日 [月]

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1~5歳以下で発症する人がほとんどです

アトピー性皮膚炎は、発症してから治るまでの過程に個人差がありますが、大きく4つのパターンに分かれます。

まず発症の時期ですが、乳幼児期が多くなっています。最近の調査では、1歳以下で発症するケースが全体の50~60%、5歳以下では80%となっています。1歳以下といっても生まれてすぐに発症することはほとんどなく、生後2~3カ月ほどで症状が出始めます。

次に、治るまでの過程ですが、ほとんどのケースでよくなったり、再発したりを繰り返しながら、成長に伴って自然に治っていきます。急激によくなるケース(グラフA)もあれば、ゆっくりと治っていくケース(グラフBの実線)もあります。また、最近では、大人になってもずっとアトピー性皮膚炎を患っている、いわゆる重症化するタイプ(グラフBの点線)や、大人になって突然、再発するようなタイプ(グラフC)なども増えています。しかし、全体から見るとそれほど多いというわけではありません。

発症から治るまでの4つのパターン

(正しい治療がわかる本 アトピー性皮膚炎 平成20年10月30日初版発行)

古江増隆 九州大学大学院皮膚科学教授

1980年東京大学医学部卒業、同年東京大学医学部附属病院皮膚科学教室入局。
85年同病院皮膚科医局長。
86年、アメリカのNational Institutes of Healthの皮膚科部門に留学、88年東京大学医学部附属病院皮膚科復職。
同年東京大学皮膚科学教室講師、病棟医長。
92年山梨医科大学皮膚科学教室助教授、95年東京大学医学部皮膚科助教授。
97年九州大学医学部皮膚科教授、2002~04年九州大学医学部附属病院副院長兼任。
08年より九州大学病院油症ダイオキシン研究診療センターセンター長兼任。
02~04年厚生労働省研究班「アトピー性皮膚炎の既存治療法のEBMによる評価と有用な治療法の普及」主任研究者、05~08年同「アトピー性皮膚炎の症状の制御および治療法の普及に関する研究」主任研究者。

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