病気のしくみを正しく理解しておきましょう 1

[病気に対する正しい知識] 古江増隆 九州大学大学院皮膚科学教授

2016年4月21日 [木]

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子どもの患者さんが多くなっています

厚生労働省(旧厚生省)が1992~96年に実施した「アレルギー疾患の疫学に関する研究」によると、アトピー性皮膚炎などなんらかのアレルギー疾患になっている人は、乳幼児が28.3%、小中学生32.6%、大人(高校生以上)30.6%で、国民の約3人に1人がアレルギー疾患をもっていることが明らかになりました。

アトピー性皮膚炎の調査では、厚生労働省の研究班が2000~02年に全国8地区の生後4カ月から大学1年生まで(4万8072人)の有症率について調べたところ、もっとも高かったのは3歳児で13.2%、次いで4カ月児が12.8%、小学1年生は11.8%という結果になりました。さらに、アトピー性皮膚炎を発症している子どもの割合について、1981年から97年にかけて愛知県の4歳から15歳までを調べたところ、81年は2.8%でしたが、92年は6.6%となり、約10年間で2倍以上に増加していることがわかりました。

アトピー性皮膚炎をふくむアレルギー疾患は、増加の一途をたどっています。これは日本に限ったことではなく、世界的に共通していることのようです。しかし、興味深いことに2008年現在では、わが国の気管支ぜんそくや花粉症はまだ増加しつつありますが、アトピー性皮膚炎は横ばいになっています。

アトピー性皮膚炎の年齢別の有症率

(正しい治療がわかる本 アトピー性皮膚炎 平成20年10月30日初版発行)

古江増隆 九州大学大学院皮膚科学教授

1980年東京大学医学部卒業、同年東京大学医学部附属病院皮膚科学教室入局。
85年同病院皮膚科医局長。
86年、アメリカのNational Institutes of Healthの皮膚科部門に留学、88年東京大学医学部附属病院皮膚科復職。
同年東京大学皮膚科学教室講師、病棟医長。
92年山梨医科大学皮膚科学教室助教授、95年東京大学医学部皮膚科助教授。
97年九州大学医学部皮膚科教授、2002~04年九州大学医学部附属病院副院長兼任。
08年より九州大学病院油症ダイオキシン研究診療センターセンター長兼任。
02~04年厚生労働省研究班「アトピー性皮膚炎の既存治療法のEBMによる評価と有用な治療法の普及」主任研究者、05~08年同「アトピー性皮膚炎の症状の制御および治療法の普及に関する研究」主任研究者。

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