どんな症状が現れるのでしょうか 2

[病気に対する正しい知識] 古江増隆 九州大学大学院皮膚科学教授

2016年9月15日 [木]

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年齢によって現れる場所や症状が違います

また、アトピー性皮膚炎は、年齢によって皮疹が現れる場所や症状が違います。おもな特徴を説明しましょう。

2歳未満

口のまわりやほおに紅斑や丘疹が出てきます。皮疹はジクジクしているのが特徴です。やがて屈曲部といわれる首やひざの裏側、ひじの裏側、手首、足首などに皮疹が現れてきます。

2~12歳

屈曲部だけでなく、体全体に皮疹が増えてきます。また皮膚が乾燥(いわゆるアトピー性ドライスキン)してきて、鱗屑が広がっていきます。屈曲部などよくかく部分は、皮膚がゴワゴワと硬くなる苔癬化がみられ、色素沈着もできてきます。また、耳切れ(耳の周囲の皮膚が切れる状態)もよくみられる症状です。顔には、皮膚の一部だけが白くなり、カサカサした症状になる単純性粃糠疹(たんじゅんせいひこうしん)(はたけともいう)が出ることもあります。

思春期以降

上半身(顔、首、胸、背中、ひじの裏側)にとくに強く症状が出ます。また「アトピー性の赤ら顔」といって独特の赤みを帯びた顔になったり、まゆ毛が抜け落ちたり、口のまわりに色素沈着がおこったりします。

皮疹は、体のなかで出やすい場所があります。たとえば、耳や口などのまわりや、首や関節の裏側のように皮膚がやわらかく、折れたりくぼんだりしてしわになっているところです。不思議なことに同じようにデリケートな部位でも、わきの下や陰部にはあまり症状が出ません。この部分は、常に湿っていて乾燥しにくいためだと考えられます。

年代別 症状が現れやすいおもな部位

(正しい治療がわかる本 アトピー性皮膚炎 平成20年10月30日初版発行)

古江増隆 九州大学大学院皮膚科学教授

1980年東京大学医学部卒業、同年東京大学医学部附属病院皮膚科学教室入局。
85年同病院皮膚科医局長。
86年、アメリカのNational Institutes of Healthの皮膚科部門に留学、88年東京大学医学部附属病院皮膚科復職。
同年東京大学皮膚科学教室講師、病棟医長。
92年山梨医科大学皮膚科学教室助教授、95年東京大学医学部皮膚科助教授。
97年九州大学医学部皮膚科教授、2002~04年九州大学医学部附属病院副院長兼任。
08年より九州大学病院油症ダイオキシン研究診療センターセンター長兼任。
02~04年厚生労働省研究班「アトピー性皮膚炎の既存治療法のEBMによる評価と有用な治療法の普及」主任研究者、05~08年同「アトピー性皮膚炎の症状の制御および治療法の普及に関する研究」主任研究者。

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