病気のしくみを正しく理解しておきましょう 9

[病気に対する正しい知識] 古江増隆 九州大学大学院皮膚科学教授

2016年8月18日 [木]

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アトピー素因があるからといって必ず発症するわけではありません

アトピー性皮膚炎で医療機関を受診すると、たいてい最初に家族歴を聞かれます。アトピー素因は、親から子どもに受け継がれるので、その参考にするためです。遺伝子については、2006年に欧米で「アトピー性皮膚炎患者の多くにバリア機能障害をおこす遺伝子変異がある」という発表がされています。とはいえ、アトピー素因をもっていても必ずアトピー性皮膚炎になるわけではありません。アトピー素因はなりやすさを示すものではありますが、受け継いでいても、環境やそのときの皮膚の状態など、さまざまな要因がかかわって発症するのです。

また、子どものアトピー性皮膚炎を予防するために、卵や乳製品を避ける妊婦さんもいます。しかし、こうした食事制限が予防に役立つという証拠がないため、現在では妊婦の食事制限は行わないことになっています。

(正しい治療がわかる本 アトピー性皮膚炎 平成20年10月30日初版発行)

古江増隆 九州大学大学院皮膚科学教授

1980年東京大学医学部卒業、同年東京大学医学部附属病院皮膚科学教室入局。
85年同病院皮膚科医局長。
86年、アメリカのNational Institutes of Healthの皮膚科部門に留学、88年東京大学医学部附属病院皮膚科復職。
同年東京大学皮膚科学教室講師、病棟医長。
92年山梨医科大学皮膚科学教室助教授、95年東京大学医学部皮膚科助教授。
97年九州大学医学部皮膚科教授、2002~04年九州大学医学部附属病院副院長兼任。
08年より九州大学病院油症ダイオキシン研究診療センターセンター長兼任。
02~04年厚生労働省研究班「アトピー性皮膚炎の既存治療法のEBMによる評価と有用な治療法の普及」主任研究者、05~08年同「アトピー性皮膚炎の症状の制御および治療法の普及に関する研究」主任研究者。

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