アレルゲンの除去や民間療法はほどほどにしましょう 2

[再発予防と生活するうえで気をつけたいこと] 古江増隆 九州大学大学院皮膚科学教授

2016年4月07日 [木]

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民間療法では、アトピー性皮膚炎は治りません

アトピー性皮膚炎では、これまでステロイド外用薬に対してまちがった考え方や不安が根強くあったため、たくさんの民間療法が登場しています。「アトピー性皮膚炎が治る」「アトピー体質・アレルギー体質が変わる」と書いた広告を数多く目にします。なかには非常に費用のかかる方法もあるようです。

このような民間療法の多くは、「○○さんが治った」「○○さんの喜びの声を紹介」というように、個別のケースを紹介しています。たとえその広告のとおりであったとしても、その治療はその人に効いたのであって、誰にでも効くとは限りません。

民間療法の、なにもかもが悪いというわけではなく、実際、精神的な部分で支えになって、症状の改善をもたらしてくれる可能性もないとはいえません。しかし、「ステロイド外用薬を使わずに」といった、薬物療法の中止を促すものにはとくに注意が必要でしょう。民間療法だけに頼り、正しい治療をしなかったために、せっかくの治すチャンスを逸して、悪化させるケースや重症化につながる危険性もまた少なくないのです。あくまでも治療の基本は、「スキンケア」、「薬物療法」そして「原因・悪化因子の除去」です。時間はかかるかもしれませんが、回復へのいちばんの近道であることに変わりありません。

(正しい治療がわかる本 アトピー性皮膚炎 平成20年10月30日初版発行)

古江増隆 九州大学大学院皮膚科学教授

1980年東京大学医学部卒業、同年東京大学医学部附属病院皮膚科学教室入局。
85年同病院皮膚科医局長。
86年、アメリカのNational Institutes of Healthの皮膚科部門に留学、88年東京大学医学部附属病院皮膚科復職。
同年東京大学皮膚科学教室講師、病棟医長。
92年山梨医科大学皮膚科学教室助教授、95年東京大学医学部皮膚科助教授。
97年九州大学医学部皮膚科教授、2002~04年九州大学医学部附属病院副院長兼任。
08年より九州大学病院油症ダイオキシン研究診療センターセンター長兼任。
02~04年厚生労働省研究班「アトピー性皮膚炎の既存治療法のEBMによる評価と有用な治療法の普及」主任研究者、05~08年同「アトピー性皮膚炎の症状の制御および治療法の普及に関する研究」主任研究者。

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