適切な治療を始めるには、正確な診断が必要です 4

[診断はこのように行われます] 古江増隆 九州大学大学院皮膚科学教授

2014年7月30日 [水]

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アトピー性皮膚炎のおもな検査法

アトピー性皮膚炎の検査には、免疫にかかわる抗体や免疫細胞の量などを調べる血液検査や、アレルギー反応をおこすアレルゲンを確かめる皮膚試験などがあります。皮膚試験は、通常の治療をしてもなかなか症状がよくならない人や、食物アレルギーを合併している疑いがある場合、アレルゲンを特定するために行います。おもな検査は、次のとおりです。

血液検査

  • IgE
    血液中のIgE(免疫グロブリンE)の量を調べます。IgEは、アレルギー反応がおこったとき、体内でつくり出される抗体です。アトピー性皮膚炎の患者さんでは、80%ぐらいの人がふつうの人より多量になります。ダニに対するIgE、卵白に対するIgEなどが検出できます。
    幼児期以降の通常のアトピー性皮膚炎ではダニやハウスダストに対するIgEがいちばん高いパターンを示します。この場合、一般的な生活指導のみです。
    でもたとえば、動物の毛に対するIgEがダニと同じくらい高い場合には、通常のパターンではありませんので、ペットとの接触については注意してもらいます。
    乳幼児で食物アレルギーの合併が疑われる場合には、IgE検査、皮膚試験などを行ってアレルゲンを特定します。
  • 好酸球
    好酸球は白血球の一種です。炎症やアレルギー反応があるところに集まってくるので、アトピー性皮膚炎になると増えるという特徴があります。実際、85%ぐらいの患者さんで多量の好酸球がみつかります。

皮膚試験

  • 皮内テスト
    アレルゲンを溶かした液を皮下注射して、アレルギー反応をみます。
  • スクラッチテスト
    前腕の屈曲部に針などで傷つけ、そこに直接アレルゲンを少量たらし、アレルギー反応をみます。
  • パッチテスト
    皮膚にアレルゲンを塗ったシートをはって、アレルギー反応をみます。
症状が現れやすい部分

(正しい治療がわかる本 アトピー性皮膚炎 平成20年10月30日初版発行)

古江増隆 九州大学大学院皮膚科学教授

1980年東京大学医学部卒業、同年東京大学医学部附属病院皮膚科学教室入局。
85年同病院皮膚科医局長。
86年、アメリカのNational Institutes of Healthの皮膚科部門に留学、88年東京大学医学部附属病院皮膚科復職。
同年東京大学皮膚科学教室講師、病棟医長。
92年山梨医科大学皮膚科学教室助教授、95年東京大学医学部皮膚科助教授。
97年九州大学医学部皮膚科教授、2002~04年九州大学医学部附属病院副院長兼任。
08年より九州大学病院油症ダイオキシン研究診療センターセンター長兼任。
02~04年厚生労働省研究班「アトピー性皮膚炎の既存治療法のEBMによる評価と有用な治療法の普及」主任研究者、05~08年同「アトピー性皮膚炎の症状の制御および治療法の普及に関する研究」主任研究者。

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