適切な治療を始めるには、正確な診断が必要です 3

[診断はこのように行われます] 古江増隆 九州大学大学院皮膚科学教授

2014年7月30日 [水]

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かゆみの程度は、点数にします

診察では、診断基準に沿って「かゆみ」「皮膚の状態」「発症してからの経過」の3つのポイントを診(み)ます。かゆみの程度や発症してからの経過、繰り返し症状がおこるかどうかについては、問診や質問票で確かめます。症状について自分で説明ができない乳幼児の場合は、つき添いの両親や保護者などから話を聞きます。

かゆみは、本人以外にはわかりにくい症状です。そこで、よく用いられる方法として「VAS(ビジュアル・アナログ・スケール)」があります。紙に長さ10cmの横線が引いてあって、目盛りが刻まれています。左端の0は「まったくかゆみがない」、右端の10 (または100)は「もっともひどいかゆみ」を表します。これで今のかゆみの程度がどれくらいなのか、点数をつけてもらうわけです。VASによってかゆみの程度を数字にすることで、他人にはなかなかわかってもらえない、かゆみという自覚症状を客観的にとらえることができます。

VASでかゆみの程度を調べます

皮膚の状態については、目や鼻、口のまわり、ひじなどの関節の裏側、首など症状が出やすい部位に皮疹(皮膚に生じた変化。発疹ともいう)があるか、体の左右対称の同じような場所に出ているか、全身の皮膚が乾燥しているかなどを診ます。目で見るだけでなく、実際に触って診察します。また、かゆみや皮疹があっても、体の片側だけや一部分だけにみられる場合は、かぶれなどほかの病気によって症状がおこっていると考えられます(下記の表参照)。

アトピー性皮膚炎と除外すべき病気

(正しい治療がわかる本 アトピー性皮膚炎 平成20年10月30日初版発行)

古江増隆 九州大学大学院皮膚科学教授

1980年東京大学医学部卒業、同年東京大学医学部附属病院皮膚科学教室入局。
85年同病院皮膚科医局長。
86年、アメリカのNational Institutes of Healthの皮膚科部門に留学、88年東京大学医学部附属病院皮膚科復職。
同年東京大学皮膚科学教室講師、病棟医長。
92年山梨医科大学皮膚科学教室助教授、95年東京大学医学部皮膚科助教授。
97年九州大学医学部皮膚科教授、2002~04年九州大学医学部附属病院副院長兼任。
08年より九州大学病院油症ダイオキシン研究診療センターセンター長兼任。
02~04年厚生労働省研究班「アトピー性皮膚炎の既存治療法のEBMによる評価と有用な治療法の普及」主任研究者、05~08年同「アトピー性皮膚炎の症状の制御および治療法の普及に関する研究」主任研究者。

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