クリスマスのモモは、かゆさに負けないおしゃれ番長
[アトピー・ノート] 雫ゆき江
2014年12月05日 [金]
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モモが4歳の時クリスマスプレゼントにおばあちゃんが編んでくれたピンクのマフラー。
暖かくて、かわいいこのマフラーで今日のファッションは完璧!と思ったけれど…
「すっごくかわいいのに首がチクチクして、かゆくなってきちったよぉ」
「じゃあ、はずしちゃおう」
「やぁだぁ、ばぁばがくれたんだもの」
「でも、かゆいなら無理しない方がいいよ」
夕闇の中、クリスマスパーティーに行く道を歩きながら、軽くモモと押し問答。
かわいいけどかゆいのと、かゆくないけど決まらないファッション。
どっちも選べずモモはちょっと不機嫌になってしまいました。
この日のためにしまっておいた、取って置きのマフラー。
こんな時、おしゃれができないのは女の子にはかわいそうだなと思わずにはいられません。
せめて身に着けてみんなに見せたいらしいのですが、やっぱりかゆさには勝てず…
「ママ持っててぇ、お店でするから」
「普通マフラーは、お店に入ったらはずすものだよ?」
「いいのぉ」
「はいはい。変だけどね」
寒空の下、強めの北風がモモの首元に容赦なくあたり、掻いて赤く腫れた跡がちょっと目立ちます。
「お薬塗ろうか?」
「いらないよぉ、お薬くっついちゃうとマフラーが汚れちゃう」
むむむ、、、おしゃれ番長な発言。私ならさっさと諦めて、かゆみにサヨナラするんだけどなぁ。
クリスマスのディスプレイに彩られた街を楽しみながら、歩くこと20分。かゆさも気にならなくなりマフラーのことはすっかり忘れているようでした。
お店にやっと着いた時には15分くらい遅れてたので急いで中に入ろうとすると
「待ってママ。マフラー、マフラーしなくちゃ」
あ、、、忘れてなかったのね、、、やっぱり。
いそいそとマフラーをして意気揚々とドアを開け、私を置いてあっという間にみんなの元へ。
「見て見て~、ばぁばが編んでくれたんだよぉかわいいでしょ。モモのお気に入りなんだ~」
満面の笑みです。かゆいのなんか、なんのその。おくびにも出しません。
みんなにひとしきり褒めてもらうと私のところに来てさっとマフラーをはずし、ぐいっと差し出してきます。
「ママ持ってて」
そして、マフラーを握ってあっけにとられる私を残し、ドヤ顔でまた戻っていきました。
「おしゃれは我慢」と聞いたことありますが、なんだか4歳のモモに女として負けた気がするんです。
女の子ってかわいく見られるための我慢は、楽しいことになっちゃうんですから不思議ですよね。
雫ゆき江
1971年、栃木県宇都宮市生まれ。グラフィックデザイナー・ライター・コラムニスト。
調理師免許を持ち、グラフィック、テーブルコーディネート、ディスプレイ、執筆まで幅広く活動。2004年女児出産。生後10カ月で娘がアトピー性皮膚炎と食物アレルギーを持っていることが判明。そこから始まったアトピー&アレルギーの学びと経験で、育児と仕事の両立に泣き笑い奮闘中。
家族は、夫、娘(小2)、猫3匹(左近オス・萬寿メス・千寿メス)。