悪化因子に気をつけ、再発を防ぎましょう 1

[再発予防と生活するうえで気をつけたいこと] 古江増隆 九州大学大学院皮膚科学教授

2015年10月15日 [木]

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しばらくたってから、再発することもあります

アトピー性皮膚炎は、皮膚に湿疹(しっしん)などのかゆみを伴うさまざまな症状が現れ、よくなったり、悪くなったりを繰り返しやすい病気です。アトピー性皮膚炎になる人は、もともと皮膚のバリア機能が弱いうえ、多くの場合、アトピー素因をもっていることが知られています。そしてすでに何度か述べているように、治療はアトピー素因をどうにかしようというのではなく、「もともと」の部分であるバリア機能の弱さを改善できるかどうかがキーポイントになります。つまり、基本は保湿ケアです。

その基本を守っていれば、アトピー性皮膚炎は、成長に伴って改善することが多く、自然に治ってしまうことがめずらしくありません。アトピー性皮膚炎は、一度かかったらなかなか治らないという印象があるかもしれませんが、むしろこうしたケースのほうが一般的です。たとえば、赤ちゃんのころに発症した子どもでは、小学校に上がるぐらいまでにすっかりよくなります。

しかしその一方で、治療によって一見、うまく治ったかのように思えても、大人になってなんらかのきっかけで再発する場合もあります。このようなケースでは、以前の発症から、数年から10年ぐらいたって再発するケースが多く、症状は以前よりも重く、寛解(かんかい)する(症状がほとんどなく日常生活に支障がない、あるいは症状が少しあってもあまり悪化しない状態になる)までに時間がかかるようです。

(正しい治療がわかる本 アトピー性皮膚炎 平成20年10月30日初版発行)

古江増隆 九州大学大学院皮膚科学教授

1980年東京大学医学部卒業、同年東京大学医学部附属病院皮膚科学教室入局。
85年同病院皮膚科医局長。
86年、アメリカのNational Institutes of Healthの皮膚科部門に留学、88年東京大学医学部附属病院皮膚科復職。
同年東京大学皮膚科学教室講師、病棟医長。
92年山梨医科大学皮膚科学教室助教授、95年東京大学医学部皮膚科助教授。
97年九州大学医学部皮膚科教授、2002~04年九州大学医学部附属病院副院長兼任。
08年より九州大学病院油症ダイオキシン研究診療センターセンター長兼任。
02~04年厚生労働省研究班「アトピー性皮膚炎の既存治療法のEBMによる評価と有用な治療法の普及」主任研究者、05~08年同「アトピー性皮膚炎の症状の制御および治療法の普及に関する研究」主任研究者。

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