アトピー性皮膚炎の季節変動、夏に向けて 後編

[清水良輔先生の診察日記] 清水良輔先生

2013年11月19日 [火]

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皮ふ科しみずクリニック院長、清水良輔です。

前回の「アトピー性皮膚炎の季節変動、夏に向けて前編」でもお伝えしましたように、私は多くの患者さんとお付き合いさせていただいた経験から季節増悪に関して独自の考え方を持っています。
医学根拠のないお話ですがご自身の体験とすり合わせて考えてみてください。
暑いのが苦手な人の多くはあまり汗をかけない人だろうと思っています。
汗をかけないので熱がこもってしまい暑い環境、長湯、熱い湯、サウナ、などが苦手で掻くことが増えてしまいます。

さらに発汗することを自然に避けるようになり運動をさけたり、いつも薄着でいたり、冷房のきいた環境を好んだり、冷たい飲み物をがぶ飲みしたりなどの生活習慣になっている方を多くみかけます。こういう方は冬場はカラダが冷えるのに、顔、首はほてりやすいという傾向があり、皮疹の分布も胸像部といって胸や背中の上部から首、顔にかけて分布していることが多いと感じています。

気温が上がりだしたがまだ十分に発汗できない4月から5月頃に掻くことが増えたり、夜間に顔を擦ったりする人が多いように思います。
もっと暑くなって7月、8月になり大量に汗をかける人は軽快します。
真夏になっても汗をかけない人はさらに増悪してしまう傾向があります。
対策は食も含めてからだを冷やす生活習慣を見直し、運動や半身浴、など積極的に汗をかけることを生活のなかに取り込めるといいと思います。
中高時代に運動や部活に打ち込んでいたら調子が良かったという方が多いひとつの理由だと思っています。
それから急に太陽を浴びたときに赤外線の熱作用でかゆくなり掻いてしまい、それを紫外線のせいだと思い込んでしまう方が多いと感じております。
その結果、夏が苦手な理由になっているように思います。

紫外線は湿疹の治療に有効性が認められています。
昔から海水浴療法などと言って海水浴に行くと良くなる人が多いことが知られています。
海水浴で良くなる理由は冷やしながら汗をかけること。
紫外線。そして大きな景色、波の音、人の歓声、焼けた砂、海水の塩辛さ、など五感をフルに使うことが多いのがその理由ではないでしょうか。
ただし、掻き傷だらけのときは海水がしみて大変なので、親の想いだけで小さな子供を無理に海水浴させると海水浴が嫌いになってしまいますので要注意です。

清水良輔先生

皮ふ科しみずクリニック院長(皮膚科専門医) 1953年、神戸市生まれ。
白衣を着ない出で立ちと、髭・長髪がトレードマーク。
兵庫県神戸市にて、皮膚アレルギー疾患を専門とし長年診療を続け、これまで診てきたアトピー性皮膚炎の患者数は3万人以上。
約15年、国内の皮膚科としては唯一、心身医学的な観点からアトピー性皮膚炎を診療し、数多くの患者さんを精力的に治療している。
趣味:料理、旅行、スキー、サッカー観戦、競馬、南の島で心理本を読むこと
好きなこと:食べること
座右の銘:次善の策

略歴

1978年帝京大学医学部卒業
1983年神戸大学医学部皮膚科 助手・医局長
1994年神戸労災病院皮膚科 部長
2001年神戸大学医学部臨床助教授兼任
2002年神戸市灘にて開業(皮ふ科しみずクリニック) 現在に至る

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