睡眠の質を高めましょう

[清水良輔先生の診察日記] 清水良輔先生

2013年11月05日 [火]

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皮ふ科しみずクリニック院長、清水良輔です。

睡眠不足は自律神経のバランスや内分泌ホルモンの分泌などを介して循環器系臓器や消化器系臓器の機能にかかわり、皮膚でも発汗不全や四肢の冷えなどに関連してくると考えられます。
質の良い睡眠で迎えたすがすがしい朝は、気分や感情にも大きな影響があり、睡眠は様々な疾患の治療の要となるものです。
アトピー性皮膚炎にとっての睡眠の効用は、ずばり「掻く事が減る」ことです。ノンレム睡眠(深い睡眠)とレム睡眠(浅い睡眠)を繰り返して朝の目覚めに至るのですが、アトピーの人はレム睡眠の近辺で掻いているようです。

かゆいので眠りが浅くなりまた眠りが浅いから掻く、掻くからよけいにかゆくなるという悪循環になっています。夜中に掻いたことは、朝布団に血がついていたり、布団の中の落屑(らくせつ)が多いことや、朝は本来比較的赤味がうすいはずの湿疹の部位が赤いことで判断できます。

夜中に掻いている時は起こしてもらうと比較的掻く時間が短くて済みます。
協力が得られない場合は鈴をつけて寝る手もあります。しかしなんといっても眠り全体の質を考えることが重要です。毎日一定の時間に起きて昼寝をしないこと、昼間に適当な運動をすること、眠くなってから布団に入ること、寝る前に頭を使いすぎないこと。多量の飲酒をしないことなどが重要です。

現代人は生活習慣的に寝る直前まで脳を使っていることが多いと思います。
寝る直前布団に入ってテレビを見たり、本を読んだり、携帯を見てたり、寝る直前までパソコンをして、寝待ちしながら考え事をする習慣の人も多いのではないでしょうか。アトピーの人も例外ではなくさらに湿疹があるので余計に不利です。

私は質の良い眠りのために、寝る前30分はベッドの上に座って布団に入らず、ムード照明にして眠りに効用のあるアロマをたきます。
アルファ波(眠る時の脳波)を誘導しやすくなるように呼吸法を行い、さらにアルファ波ミュージックをかけて眠くなってから布団にもぐりこむということを実践していますが効果絶大です。アトピーの人もまねて掻くのが減ったという方がおられますのでお試しあれ。

清水良輔先生

皮ふ科しみずクリニック院長(皮膚科専門医) 1953年、神戸市生まれ。
白衣を着ない出で立ちと、髭・長髪がトレードマーク。
兵庫県神戸市にて、皮膚アレルギー疾患を専門とし長年診療を続け、これまで診てきたアトピー性皮膚炎の患者数は3万人以上。
約15年、国内の皮膚科としては唯一、心身医学的な観点からアトピー性皮膚炎を診療し、数多くの患者さんを精力的に治療している。
趣味:料理、旅行、スキー、サッカー観戦、競馬、南の島で心理本を読むこと
好きなこと:食べること
座右の銘:次善の策

略歴

1978年帝京大学医学部卒業
1983年神戸大学医学部皮膚科 助手・医局長
1994年神戸労災病院皮膚科 部長
2001年神戸大学医学部臨床助教授兼任
2002年神戸市灘にて開業(皮ふ科しみずクリニック) 現在に至る

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