掻破行動:セルフモニタリングの奨め
[清水良輔先生の診察日記] 清水良輔先生
2013年12月04日 [水]
おすすめアトピー記事

皮ふ科しみずクリニック院長、清水良輔です。
掻く事、擦ること、むしることが減らせるとアトピーが良くなるということはわかっていただけると思います。
しかし、いざ取り組むとなるとなかなか難しく「我慢しよう」「かゆくなったら冷やそう」「包帯を巻いておこう」等のありきたりなアイデアではなかなか掻く事は減らせないばかりか、かえって習慣的になってしまうということを以前のコラム「掻いてもいいよ」でも述べました。
実際に掻く場面をみてみると、だいたい熱い時、眠い時、いらいらしている時か、ほっとした時、の組み合わせであることが多く、避けることはなかなか難しいと思います。
習慣的な掻破行動にどう対処すればいいのかについて個人的な見解を述べます。
まず基本的なことは、取り組むのに必要なモチベーションがあることが重要です。掻く場面のことをいつもだらだらと考えるのではなく、例えば「このイべントのために良くなろう」とか「期間限定でこの1週間は取り組んでみよう」などメリハリの効いた取り組みが役に立つと思います。
まずは自分で掻く場面や様子をモニターすること(セルフモニタリング)から始めてみましょう。掻いていることに気付いたら、掻きながら次の7項目をモニターしてみてください。
- かゆみや掻き始めたタイミング:
(例)帰宅途中はかゆくなかったが帰ってきて自室に入って荷物をおいた頃からかゆくなり着替えながら掻いたなど - 場所:
(例)自分の部屋でソファに座ってなど - 姿勢:
(例)座って足を組んでなど - 手の使い方:
(例)両腕をクロスして爪を立てて掻きその後首は爪の表面で擦るように掻いて顔面は叩いたなど - 掻くことの量的評価:
(例)かきながらストローク数を数える、約何分掻くか時間を計る - 周囲の状況:
(例)人がいるのか、テレビがついているのか、暗いのか明るいのかなど - 止まるきっかけ:
(例)戸をノックされたら止まった
などセルフモニタリングができるようになると掻く事を減らすことが可能です。
清水良輔先生
白衣を着ない出で立ちと、髭・長髪がトレードマーク。
兵庫県神戸市にて、皮膚アレルギー疾患を専門とし長年診療を続け、これまで診てきたアトピー性皮膚炎の患者数は3万人以上。
約15年、国内の皮膚科としては唯一、心身医学的な観点からアトピー性皮膚炎を診療し、数多くの患者さんを精力的に治療している。
趣味:料理、旅行、スキー、サッカー観戦、競馬、南の島で心理本を読むこと
好きなこと:食べること
座右の銘:次善の策
略歴
1978年帝京大学医学部卒業1983年神戸大学医学部皮膚科 助手・医局長
1994年神戸労災病院皮膚科 部長
2001年神戸大学医学部臨床助教授兼任
2002年神戸市灘にて開業(皮ふ科しみずクリニック) 現在に至る