掻いているところをみかけたら(子供編)

[清水良輔先生の診察日記] 清水良輔先生

2013年12月03日 [火]

おすすめアトピー記事

皮ふ科しみずクリニック院長、清水良輔です。

子供が掻いている姿をみると家族は胸が痛みますね。だからといって「掻いてはダメ!」、「また掻いている」、「叩いておきなさい」など、つい言ってしまうセリフは役に立たないばかりか、返って掻くことを助長してしまいます。

掻いているときは、ニューロぺプタイドと言われる快感物質のせいでちょっとした陶酔状態になるため、掻くことに対して否定的なことを言われると、イライラして余計掻いてしまうことが考えられます。
掻いている手を無理やり止めるのは拷問に匹敵します。さらにそのような言動や行為を繰り返していると偽解決努力(問題の解決が得られていないのにありふれた解決努力を続けると返って問題が持続してしまうこと)といって掻く行為がより習慣化してしまうことが考えられます。

しかし、黙って見ているのも辛いし、放っておけない気持ちになるのも無理のないことです。実際掻くことのスイッチが入ってしまうと止めるのは難しいのでスイッチが入る前に何らかの対処をしたいのですが、いつも可能な訳ではないと思います。
そこで、掻いているときに少しでも短く済ませるにはどうすれば良いかを考えてみましょう。

抱きあげる、授乳する、掻いていない部位を家族が掻く、キスする、ベランダ・庭に出てみる、外の風に当てる、熱いおしぼりをあてる、ハグする、大声で歌をうたう、家族全員で合唱する。全員起立して万歳三唱する、楽器を鳴らす、笛を吹く、おもちゃをわたす、ボールをトスする、夫婦が抱きあってみる、夫婦がキスをする。などなど。

ともかく否定的でない変化を起こしたいものです。できるだけユーモラスでユニークで実行可能な変化が望ましいです。そして家族で作戦会議をして、多くのバリエーションを作り共有していることが重要です。

同じ方法を繰り返さずいろいろやってみて、ダメなら他のことを試す精神が必要です。

清水良輔先生

皮ふ科しみずクリニック院長(皮膚科専門医) 1953年、神戸市生まれ。
白衣を着ない出で立ちと、髭・長髪がトレードマーク。
兵庫県神戸市にて、皮膚アレルギー疾患を専門とし長年診療を続け、これまで診てきたアトピー性皮膚炎の患者数は3万人以上。
約15年、国内の皮膚科としては唯一、心身医学的な観点からアトピー性皮膚炎を診療し、数多くの患者さんを精力的に治療している。
趣味:料理、旅行、スキー、サッカー観戦、競馬、南の島で心理本を読むこと
好きなこと:食べること
座右の銘:次善の策

略歴

1978年帝京大学医学部卒業
1983年神戸大学医学部皮膚科 助手・医局長
1994年神戸労災病院皮膚科 部長
2001年神戸大学医学部臨床助教授兼任
2002年神戸市灘にて開業(皮ふ科しみずクリニック) 現在に至る

記事の見出し、記事内容、およびリンク先の記事内容は株式会社QLifeの法人としての意見・見解を示すものではありません。
掲載されている記事や写真などの無断転載を禁じます。

興味のあるタグをクリック