“ストレス掻き”に気付いている方々へ、「ストレスマネジメント」のすすめ

[清水良輔先生の診察日記] 清水良輔先生

2013年12月03日 [火]

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皮ふ科しみずクリニック院長、清水良輔です。

掻くときはどんなとき?と聞くと、ほとんどのアトピーの方が暑いとき、眠いとき、イライラしたとき、ほっとしたときというように答えられます。
何かイライラしている日に掻いてしまったとか、すごく忙しかったり、緊張したり、くたびれたりした日にそのあとの時間帯、例えば家に帰って着替えたらほっとして掻いてしまったという経験のある方は多いと思います。
こういった状況で掻いてしまうことを個人的に“ストレス掻き”と呼んでいます。“ストレス掻き”に気付いている方々へ一般的な対策として「ストレスマネジメント」のお話をしたいと思います。

ストレスマネジメントを簡単に3つに分けて説明します。
1番目のストレスマネジメントは日々の生活の中での気分転換といえるようなものです。例えばスポーツをする、観る。音楽を聞く、演奏する、歌う。散歩、適度な飲酒、旅行、ダンス、気のあった人と時間を過ごす、語る、などなど人それぞれ様々な方法があると思いますが、要は自分が気に入っていて、気分が良くなったり気分が切り替えられたりするような五感を使うことを生活に適正に組み入れるということだと思います。

2番目のストレスマネジメントはイライラや緊張や疲れを実感するときに、速やかに行えるリラクゼーションメソッドを持つということです。簡単なのは呼吸法です。
練習が必要ですがストレッチ、ヨガ、さらにはアロマなども役に立つでしょう。
さらにここでは説明できるスペースがありませんが、少し専門性の高いもので動作法、自立訓練法、思考場療法などもあります。

そして、一番重要と考えているのが3番目のストレスマネジメントですが、代表的なストレスを受けやすい思考パターンを知って、生活の中でそういう思考に陥りがちな事象をみつけ思考パターンを変化させたり、その思考パターンに基づく行動を変容させたりするというものです。
いくつかのパターンを紹介しますので、ついそういう思考パターンになりがちな事象がないか考えてみてください。

一つ目のパターンは、「過度の一般化」といって一つの孤立した出来事に基づいてすべてを判断してしまうような考え方のことです。一度友達を食事に誘って断られたらその友達に嫌われていると考えたり、仕事で一度失敗するとその仕事が自分には向いていないと決めつけたりなどがその例です。

二つ目のパターンは「絶対的な二者択一的思考」といって「良いか悪いか」「善か悪か」「完全か不完全か」といった二者択一的な思考を様々な事象に対して行う傾向で、自分に親切にしてくれる人以外はすべて敵のように感じてしまったりすることなどが例えです。

似た思考パターンに「全か無かの思考あるいは0-100思考」というものがあります。
それは仕事でも、勉強でも、家事でも完全に出来た状態(100点)でないと許せない(0点)、60点、70点では納得できないというような考え方で、自分に対してまたは他者に対してもそのような思いで向かっていくことがあります。

他にもストレスを生みやすい思考パターンはいろいろありますが代表的なものを紹介しました。参考にされて普段の生活のコミュニケーションを見直してみられたら“ストレス掻き”が減るかもしれませんよ。

清水良輔先生

皮ふ科しみずクリニック院長(皮膚科専門医) 1953年、神戸市生まれ。
白衣を着ない出で立ちと、髭・長髪がトレードマーク。
兵庫県神戸市にて、皮膚アレルギー疾患を専門とし長年診療を続け、これまで診てきたアトピー性皮膚炎の患者数は3万人以上。
約15年、国内の皮膚科としては唯一、心身医学的な観点からアトピー性皮膚炎を診療し、数多くの患者さんを精力的に治療している。
趣味:料理、旅行、スキー、サッカー観戦、競馬、南の島で心理本を読むこと
好きなこと:食べること
座右の銘:次善の策

略歴

1978年帝京大学医学部卒業
1983年神戸大学医学部皮膚科 助手・医局長
1994年神戸労災病院皮膚科 部長
2001年神戸大学医学部臨床助教授兼任
2002年神戸市灘にて開業(皮ふ科しみずクリニック) 現在に至る

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