ステロイド外用剤の使用法の変遷

[清水良輔先生の診察日記] 清水良輔先生

2013年11月28日 [木]

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皮ふ科しみずクリニック院長、清水良輔です。

ステロイド外用剤は昭和20年代後半に最初は副腎ホルモンの注射薬を軟膏に混ぜて用いられたのが最初であったようです。

30年代になると製薬メーカーがステロイド外用剤の開発に着手し始め40年代、50年代はどんどんステロイド外用剤の種類も増えてストロンゲストからウイークまで血管収縮作用によって4~5段階に分類されるようになりました。
強力なステロイド剤の開発とともにアンテドラッグという吸収されて血管内に入るとステロイドとしての作用を発揮しなくなる、すなわち全身的な副作用を考えなくてよい外用剤も登場するようになりました(ただしアンテドラッグでなくとも現実には全身性の副作用は考える必要はありません)。

私は昭和53年に医師になり一年間麻酔科に籍を置きました。
その時は全身性に投与する注射薬のステロイドを救急的な意味合いで良く使いました。
医学にかかせない薬だと感じました。
1年後の昭和54年に皮膚科に移ってからは外用剤の使用が中心になりました。
当時は「所詮塗り薬いくら塗っても大丈夫」というような使い方の先生もおられましたが、一般的に顔の使用は酒さ様皮膚炎や口囲皮膚炎などの副作用が起こりやすく顔面の使用に関して特に気をつける傾向があったように思います。
しかし長期に連用してしまっている患者さんも多くおられ、昭和60年頃より民間主導でステロイドを中止する動きが始まったと思います。

脱ステロイドという考え方は平成の時代に入って皮膚科の学会でおおいに議論になりました。
当時私も脱ステロイドを希望される多くの患者さんとの体験を共有させていただきました。

その経験に基づく個人的な脱ステロイドに対する思いを次回のコラム「脱ステロイドに寄り添って」で述べさせていただきます。

清水良輔先生

皮ふ科しみずクリニック院長(皮膚科専門医) 1953年、神戸市生まれ。
白衣を着ない出で立ちと、髭・長髪がトレードマーク。
兵庫県神戸市にて、皮膚アレルギー疾患を専門とし長年診療を続け、これまで診てきたアトピー性皮膚炎の患者数は3万人以上。
約15年、国内の皮膚科としては唯一、心身医学的な観点からアトピー性皮膚炎を診療し、数多くの患者さんを精力的に治療している。
趣味:料理、旅行、スキー、サッカー観戦、競馬、南の島で心理本を読むこと
好きなこと:食べること
座右の銘:次善の策

略歴

1978年帝京大学医学部卒業
1983年神戸大学医学部皮膚科 助手・医局長
1994年神戸労災病院皮膚科 部長
2001年神戸大学医学部臨床助教授兼任
2002年神戸市灘にて開業(皮ふ科しみずクリニック) 現在に至る

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