アトピー性皮膚炎のストレス 前編

[清水良輔先生の診察日記] 清水良輔先生

2013年11月21日 [木]

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皮ふ科しみずクリニック院長、清水良輔です。

アトピー性皮膚炎の原因がストレスであるという医学的証拠はありません。しかしアトピーの皮膚の炎症において中心的役割を果たしているヘルパーT細胞というリンパ球(白血球)は不安で活性化すると言われています。アトピーの炎症がある状態でストレスがかかるとアトピーが悪くなるということが考えられます。

ストレスや不安の全くない人生は考えられませんが、アトピーの調子が悪い時のストレスや不安はアトピーにまつわるものが最大であるという方が多いのではないでしょうか。

原因は解らないとしてもアトピーが悪くなるとアトピーにまつわるストレスが増え、さらにアトピーが悪くなるという悪循環を形成してしまいます。
さらには、アトピーが悪くなるとかゆいから掻く、掻くからよけいにアトピーが悪くなりさらに掻いてしまうという掻破行動の悪循環も加わります。
そして掻くことが習慣化してしまいますとこの2つの悪循環はリンクします。
すなわち、掻くことがやめられないことがまたストレスになったり(掻いている時は快感なのですが)、ストレスを背景に掻くことが増え、またアトピーが悪くなる。そしてまたストレスが増えてまたアトピーが悪くなるという訳で、この2つの悪循環が難治化の最大の要因と考えています。

次の「アトピー性皮膚炎のストレス後編」では患者さんたちがどういうことが不安になりやすいのかについて考えてみたいと思います。

清水良輔先生

皮ふ科しみずクリニック院長(皮膚科専門医) 1953年、神戸市生まれ。
白衣を着ない出で立ちと、髭・長髪がトレードマーク。
兵庫県神戸市にて、皮膚アレルギー疾患を専門とし長年診療を続け、これまで診てきたアトピー性皮膚炎の患者数は3万人以上。
約15年、国内の皮膚科としては唯一、心身医学的な観点からアトピー性皮膚炎を診療し、数多くの患者さんを精力的に治療している。
趣味:料理、旅行、スキー、サッカー観戦、競馬、南の島で心理本を読むこと
好きなこと:食べること
座右の銘:次善の策

略歴

1978年帝京大学医学部卒業
1983年神戸大学医学部皮膚科 助手・医局長
1994年神戸労災病院皮膚科 部長
2001年神戸大学医学部臨床助教授兼任
2002年神戸市灘にて開業(皮ふ科しみずクリニック) 現在に至る

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