免疫抑制薬

[これが基本となる正しい治療です] 古江増隆 九州大学大学院皮膚科学教授

2015年6月04日 [木]

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シクロスポリン(商品名ネオーラル)は免疫抑制薬の一つです。もともとは、臓器移植のときにおこる拒絶反応を抑えることを目的に使われていましたが、皮膚の病気では、乾癬(かんせん)やベーチェット病などに用いられています。

アトピー性皮膚炎も、重症度が高くなかなか治らないケースでは、免疫の異常が強くかかわっていることが知られています。そこで、難治性の患者さんに対して、この薬が使われるようになっています。

治療は原則として、外来で行います。ネオーラル(商品名)の場合、薬の量は体重1kg当たり1日3mgから開始し、1日2回、飲んでもらいます。そして、症状の改善状態をみながら、最長で3カ月間服用を続けます。飲み始めて1カ月が効果を確認する一つの目安で、その時点での改善状態で服用の継続・中断を考えます。免疫抑制薬による治療ができるのは、現在のところ16歳以上に限られています。

なお、この治療は2008年の秋に健康保険の適用になったばかりです。くわしく知りたい場合は、主治医に聞いてみるとよいでしょう。

(正しい治療がわかる本 アトピー性皮膚炎 平成20年10月30日初版発行)

古江増隆 九州大学大学院皮膚科学教授

1980年東京大学医学部卒業、同年東京大学医学部附属病院皮膚科学教室入局。
85年同病院皮膚科医局長。
86年、アメリカのNational Institutes of Healthの皮膚科部門に留学、88年東京大学医学部附属病院皮膚科復職。
同年東京大学皮膚科学教室講師、病棟医長。
92年山梨医科大学皮膚科学教室助教授、95年東京大学医学部皮膚科助教授。
97年九州大学医学部皮膚科教授、2002~04年九州大学医学部附属病院副院長兼任。
08年より九州大学病院油症ダイオキシン研究診療センターセンター長兼任。
02~04年厚生労働省研究班「アトピー性皮膚炎の既存治療法のEBMによる評価と有用な治療法の普及」主任研究者、05~08年同「アトピー性皮膚炎の症状の制御および治療法の普及に関する研究」主任研究者。

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