ステロイド外用薬 2

[これが基本となる正しい治療です] 古江増隆 九州大学大学院皮膚科学教授

2015年1月08日 [木]

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ステロイド外用薬はとてもよく効く薬です

ステロイド外用薬は、1952年から治療に使われており、実際に患者さんに使った臨床試験でも効果がしっかりと確かめられた薬です。正しい使い方をすれば、こわがったり、避けたりする必要はありません。ステロイド外用薬を使用することで、アトピー性皮膚炎の症状は劇的に改善します※4。ただし、ステロイド外用薬を塗っていてもほとんど効果がないというケースもあります。その場合は、診断がまちがっていたり、塗っている量が足りなかったりする可能性もあるため、一度、担当医に相談してみましょう。

(※4)Lebwohl M.:Efficacy and safety of fluticasone propionate ointment, 0.005%,in the treatment of eczema. Cutis1996;57;no2S:62-68.
【概要(和訳)】
12~83 歳の軽症から中等症のアトピー性皮膚炎の患者さん203 人に対し、ステロイド外用薬のフルチカゾンを1日2回塗る群と、偽薬を同様に塗る群に分けて二重盲検ランダム化比較試験を行いました。4週間後に効果をみたところ、フルチカゾン群では80%の患者さんに改善がみられたものの、対照群では38 %の患者さんにしか改善がみられませんでした。また、熱感などの有害事象はフルチカゾン群ではみられませんでしたが、対照群では4 例におこり、そのうち1例は重症の過敏症をおこしていました。

(正しい治療がわかる本 アトピー性皮膚炎 平成20年10月30日初版発行)

古江増隆 九州大学大学院皮膚科学教授

1980年東京大学医学部卒業、同年東京大学医学部附属病院皮膚科学教室入局。
85年同病院皮膚科医局長。
86年、アメリカのNational Institutes of Healthの皮膚科部門に留学、88年東京大学医学部附属病院皮膚科復職。
同年東京大学皮膚科学教室講師、病棟医長。
92年山梨医科大学皮膚科学教室助教授、95年東京大学医学部皮膚科助教授。
97年九州大学医学部皮膚科教授、2002~04年九州大学医学部附属病院副院長兼任。
08年より九州大学病院油症ダイオキシン研究診療センターセンター長兼任。
02~04年厚生労働省研究班「アトピー性皮膚炎の既存治療法のEBMによる評価と有用な治療法の普及」主任研究者、05~08年同「アトピー性皮膚炎の症状の制御および治療法の普及に関する研究」主任研究者。

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