13歳以上の治療計画

[これが基本となる正しい治療です] 古江増隆 九州大学大学院皮膚科学教授

2014年11月20日 [木]

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ステップ1 診察・検査

当日

  • ほかの病気ではないことをしっかりとチェックします。
  • 診断基準と重症度分類に基づいて、問診や触診で診察します。診断はその日のうちにつきます。
  • 血液検査でIgEや好酸球の量を調べることがあります。

ステップ2 スキンケアと薬物療法

1、2週間~2カ月

  • スキンケアのため、全身に保湿外用薬を塗って皮膚の乾燥を防ぎます。

軽症

1、2週間、スキンケアのみで様子をみます。

中等症 最重症・重症

ベリーストロングクラス以下のステロイド外用薬を塗ります。顔や首は薬の吸収率が高いため、ミディアム(マイルド)クラス以下を使います。また、抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬を補助的に用いることがあります。

ステップ3 治療効果の確認(1)

よくなってきた場合 およそ3週間おき

  • 症状が安定してきた場合は、スキンケアを続けます。

軽症

スキンケアを継続します。

中等症 最重症・重症

ステロイド外用薬を塗る回数を減らします。顔や首などは、ステロイド外用薬をやめてタクロリムス外用薬(商品名プロトピック軟膏)に変更します。抗ヒスタミン薬などは、飲む回数を減らし、症状があるときだけ服用します。

ステップ4 治療効果の確認(2)

よくならない場合 およそ3週間おき

  • 症状に変化がない、または悪化した場合もスキンケアは続けます。
  • 食物アレルギーの合併が疑われるときは、皮膚試験を行うことがあります。食物アレルギーを合併している場合は、アレルゲンになる食べ物を制限します。

軽症

ストロングクラス以下のステロイド外用薬を塗ることがあります。かゆみが強いときは、抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬を補助的に用います。

中等症 最重症・重症

症状が変わらないときは、ベリーストロングクラスの別の種類のステロイド外用薬に変更します。悪化した場合は、その部位にストロンゲストクラスのステロイド外用薬を一時的に塗ります。抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬は服用を続けます。

中等症 最重症・重症

症状がよくなったら、胴体や手足にもタクロリムス外用薬を試してもらいます。

最重症・重症

症状が改善しない場合は、紫外線療法を行ったり、免疫抑制薬(※)やステロイド薬を服用したりすることもあります。

※免疫抑制薬
過剰になった免疫の働きを抑制します。難治性に対してシクロスポリン(商品名ネオーラル)などが使われます。

ステップ5 治療の終了または継続

寛解、症状の安定

  • かゆみや皮疹がほとんどなくなり、保湿外用薬やタクロリムス外用薬で過ごせるようになったら寛解です。

軽症

ステロイド外用薬の使用はやめます。寛解後もスキンケアを続けて皮膚の乾燥を防ぎます。

中等症 最重症・重症

寛解後、症状が現れた場合は、ベリーストロングクラス以下のステロイド外用薬を用いて、再発や悪化を早めに防ぎます。

(正しい治療がわかる本 アトピー性皮膚炎 平成20年10月30日初版発行)

古江増隆 九州大学大学院皮膚科学教授

1980年東京大学医学部卒業、同年東京大学医学部附属病院皮膚科学教室入局。
85年同病院皮膚科医局長。
86年、アメリカのNational Institutes of Healthの皮膚科部門に留学、88年東京大学医学部附属病院皮膚科復職。
同年東京大学皮膚科学教室講師、病棟医長。
92年山梨医科大学皮膚科学教室助教授、95年東京大学医学部皮膚科助教授。
97年九州大学医学部皮膚科教授、2002~04年九州大学医学部附属病院副院長兼任。
08年より九州大学病院油症ダイオキシン研究診療センターセンター長兼任。
02~04年厚生労働省研究班「アトピー性皮膚炎の既存治療法のEBMによる評価と有用な治療法の普及」主任研究者、05~08年同「アトピー性皮膚炎の症状の制御および治療法の普及に関する研究」主任研究者。

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