治療に使用する2種類の外用薬 3

[これが基本となる正しい治療です] 古江増隆 九州大学大学院皮膚科学教授

2014年9月04日 [木]

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アトピー性皮膚炎では、飲み薬は補助的な治療です

アトピー性皮膚炎では、かゆみを抑える目的で抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬などの飲み薬を補助的に使用します。保湿とステロイド外用薬の治療をしたうえで薬を服用すると、服用していない人より症状が改善したという報告が出ています※3

(※3)Kawashima M, Tango T, et al.: Addition of fexofenadine to topical corticosteroid-reduces the pruritus associated with atopic dermatitis in a 1-week randomized,
multicentre, double-blind, placebo-controlled, parallel-group study. Br J Dermatol 148: 1212-1221, 2003
【概要(和訳)】
16歳以上のアトピー性皮膚炎の患者さん575人に対し、ステロイド外用薬の酪酸ヒドロコルチゾンとともに抗ヒスタミン薬の塩酸フェキソフェナジン60㎎を1日2回服用する群と、酪酸ヒドロコルチゾンとともに偽薬を1日2回服用する群に分けて、二重盲検ランダム化比較試験を行いました。1週間後の効果をみたところ、塩酸フェキソフェナジンを服用した群では、かゆみが有意に改善し、安全性は偽薬と同程度でした。

基本の治療で回復しない場合は、食物アレルギーを調べます

乳児の患者さんは、食物アレルギーを合併していることが少なくありません。したがって、「環境の改善」、「保湿によるスキンケア」、「ステロイド外用薬などの薬物療法」の3つを行っても症状が改善しない場合は、食物アレルギーを疑って検査をします。

(正しい治療がわかる本 アトピー性皮膚炎 平成20年10月30日初版発行)

古江増隆 九州大学大学院皮膚科学教授

1980年東京大学医学部卒業、同年東京大学医学部附属病院皮膚科学教室入局。
85年同病院皮膚科医局長。
86年、アメリカのNational Institutes of Healthの皮膚科部門に留学、88年東京大学医学部附属病院皮膚科復職。
同年東京大学皮膚科学教室講師、病棟医長。
92年山梨医科大学皮膚科学教室助教授、95年東京大学医学部皮膚科助教授。
97年九州大学医学部皮膚科教授、2002~04年九州大学医学部附属病院副院長兼任。
08年より九州大学病院油症ダイオキシン研究診療センターセンター長兼任。
02~04年厚生労働省研究班「アトピー性皮膚炎の既存治療法のEBMによる評価と有用な治療法の普及」主任研究者、05~08年同「アトピー性皮膚炎の症状の制御および治療法の普及に関する研究」主任研究者。

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