いろんなことを変化させてみたかった

[アトピー・ノート] 赤城智美

2013年11月03日 [日]

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彼と同棲を始めて4年経った。
ずっと一緒に暮らしたかったけれど、アトピー性皮膚炎で薬を塗ったり、掻きむしったり、いろいろ四苦八苦しているところを見られたくなかったので、「一緒に暮らそう」と言われてから4年間ものらりくらりごまかしていた。「いまさらびっくりすることもないから、もういいでしょ?」と彼から言われてなんとなくあきらめがついて、30歳になった時同棲を始めた。
いろんなことを変化させたくて、そのときステロイドを使うこともやめてみた。なんとなく始めたつもりだったのに、ある朝起きたら顔が二倍くらいに腫れていた。それから手足やいろんなところから体液が出てきて、眠れないし痒いし、乾いた体液が貼りついた場所を動かすと痛いし、とにかく大変なことになった。
彼は同棲した途端に変化する姿を見て呆気にとられていた。衣類を着ると体液がついて貼りついたまま、それをはがす時が痛くて辛いので、トランクスをはいただけで、夏も冬も裸で過ごしていた時期がある。ずっと眠れないのに運よく眠気がくると、ところかまわず眠りこんでしまっていたのに、彼は心配してエアコンを調整したり、傷のない場所に布をかけてくれたりして、私のやりたい放題に、ずっと黙って付き合ってくれた。そんなことを何年かやっているうちに、全体的に大分落ち着いてきて、ご飯も作れるようになったし、掃除もできるようになった。今は裸ではなくて、綿でできたふわっとした生地の洋服を着て、髪をショートカットにしているが、「エコな人みたい」と言って彼がからかう。
同棲を始める前よりも今のほうが少しいい感じだなと最近思う。この間なんとなく「裸の頃の私のことをどんなふうに思ってた?」と聞いてみたら、彼は「あんまりエッチな気分にならなかったな。服を着ている方がいろっぽくていいよ」と言っていた。それから「いまさらびっくりすることもないだろうから結婚しようよ」と言われた。仕事に復帰したいと思っていた時期もあるけれど、今のまま、彼との暮らしを大事にする生き方っていうのもありかなと思うようになった。

(電話相談で出会ったMさんのお話)

赤城智美

NPO法人 アトピッ子 地球の子ネットワーク専務理事/事務局長。
アトピー・アレルギー性疾患の患者とその家族、子どもや女性の暮らしを支援することをとおして、人と自然が共生し多様な価値を認めあい、誰もが共に生きることができる社会の実現をめざして活動する、発足18年目のNPO法人。電話相談、調査研究、イベント企画立案と実施、講師派遣、執筆、電話相談窓口開設や開設後のサポート、他商品開発や表示についてのアドバイスも行っている。 Webサイト「食物アレルギー危機管理情報(FAICM)」運用中

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