治れ治れと攻め立てられているみたいだった

[アトピー・ノート] 赤城智美

2013年12月03日 [火]

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結婚して3年、夫26歳、私は24歳です。
付き合っている頃からアトピー性皮膚炎が全身に広がっていることは知っていました。なぜかわからないけれど菓子パンを食べた後は全身を掻きむしっているので、「それやめれば?」と言ったことがあります。
今年2歳になる長男は、食物アレルギーで卵に強く反応します。間違って卵を食べてしまわないように食事に注意していると何の反応も起こらず、元気でいる子です。その子を見ていると、夫にとっての菓子パンは、食物アレルギーとは全然別物だなということがわかります。だけど、食べると必ず全身を掻きむしることになるのだから、やめればいいのにといつも思っていました。
なんで食べるの?と聞くと「腹が減るから」とので、ふと思い立って1日おきですが、お弁当を作って持って行ってもらうようにしました。それがよかったのかどうかわからないけれど、それからは全身を掻きむしることがなくなりました。それから「このシャンプーを使うと頭の中がぼこぼこ腫れたりして痒いときがあるから別のものにしてくれる?」とか、「この石鹸、実は傷口にしみてさあ~」と、いろいろ身体の事を話してくれるようになりました。シャンプーや石鹸を変えてみて「どう?」と聞くと「良いみたい」とか「やっぱり駄目」とか返事をしてくれるのが嬉しくて夢中になっていると、「あのさ、すごく有難いんだけどほどほどにしてね」と夫に言われてしまいました。
子どもの頃からお母さんが治すことに一生懸命だったので、アトピー以外の話題を喋った記憶がないんだよねと、話してくれました。「治る病気なら、治ってほしいっていう周りの人の気持ちは達成感があって良いと思うんだけど、ずっと症状があると治れ治れって、攻め立てられているみたいなんだよ」「平常心で付き合うものだって考えてくれると良いんだけどな」と言われて、何故だか涙が出てきました。
今も相変わらずお弁当を作っています。石鹸とシャンプーも「痒くないみたい」というものに落ち着きました。最近は、「やり過ぎ注意」と自分に言い聞かせています。身体の事を話し会えて本当の夫婦になったような気がしています。

(電話相談で出会ったSさんの話)

赤城智美

NPO法人 アトピッ子 地球の子ネットワーク専務理事/事務局長。
アトピー・アレルギー性疾患の患者とその家族、子どもや女性の暮らしを支援することをとおして、人と自然が共生し多様な価値を認めあい、誰もが共に生きることができる社会の実現をめざして活動する、発足18年目のNPO法人。電話相談、調査研究、イベント企画立案と実施、講師派遣、執筆、電話相談窓口開設や開設後のサポート、他商品開発や表示についてのアドバイスも行っている。 Webサイト「食物アレルギー危機管理情報(FAICM)」運用中

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