母は私の気持ちの波をわかってくれた

[アトピー・ノート] 赤城智美

2015年7月06日 [月]

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高校生のころはバレー部に入っていました。

二年の夏にアトピー性皮膚炎がひどくなって、数カ月間学校を休みました。部活でも一番活躍したかったときだったのに、汗をかくことがつらくて退部しました。

学校にも家にも居るのが辛くて、目的もなく家出をしました。ファストフード店や友達の家で夜を過ごして、一週間近くうろうろしていたら、またアトピー性皮膚炎がひどくなって、結局、家に自分で戻りました。

両親は友達から私の居場所を聞き出していたので、探しに来ることもなく、家に帰ったときも想像しているよりもずっと穏やかな怒られ方でした。

親の手のひらの中で泳がされていたような感じで、とても情けない気分でした。それにアトピーのせいで家出さえも中途半端にしかできなかった悔しさがずっと後まで尾を引きました。

でも私が家出したことで、いたたまれない気持ちでいる私のことを理解しようと、家族が努力してくれる様子が伝わってきて、そういう心遣いがありがたいなと思うようになりました。

体調のことを考えると以前と何も変わっていないけれど、辛いときに「つらい」と母には言えるようになったと思います。

アトピーの症状が軽くても、気持ちが辛くなるときもあるし、そうじゃないときもあるんだと、私の気持ちの波みたいなものを母はわかってくれたみたいです。

たぶんそのおかげで、母は私の症状の良し悪しに一喜一憂しなくなったので、私はそれが一番うれしいです。

赤城智美

NPO法人 アトピッ子 地球の子ネットワーク専務理事/事務局長。
アトピー・アレルギー性疾患の患者とその家族、子どもや女性の暮らしを支援することをとおして、人と自然が共生し多様な価値を認めあい、誰もが共に生きることができる社会の実現をめざして活動する、発足18年目のNPO法人。電話相談、調査研究、イベント企画立案と実施、講師派遣、執筆、電話相談窓口開設や開設後のサポート、他商品開発や表示についてのアドバイスも行っている。 Webサイト「食物アレルギー危機管理情報(FAICM)」運用中

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