かゆみの習慣を壊すパジャマ
[アトピー・ノート] 雫ゆき江
2015年5月18日 [月]
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先日お伝えしました「かゆみの見える化」の続きを書きたいと思います。
「眠るまでの習慣の流れの中で、何か一つ変えてみる」
というヒントをもらった帰り道。さて何を変えることができるだろう?
「柔軟な発想で・・・習慣を壊す何か・・・」
悶々と考えてもカチコチの硬い頭で思いつくことは何もなく、ピンと来るものが浮かびません。
毎日泊まり歩くわけにも行かないし、広くない我が家で寝室以外で寝られる場所はリビングだけ。でも働くママとしては、普段子どもの寝ている時間に雑事を済ませたいので、作業する場所で寝られたら邪魔です。
やっぱり「パジャマ」かなぁ・・・
あ、安直な発想かも。
安易過ぎてあんまり効果が出ないんじゃないかなぁと根拠なくぼんやり考えながらも、
何もしないよりマシかなと気を取り直して、モモと一緒にパジャマを買いに行きました。
題して
「すっごく可愛くて、着たら幸せな気持ちで眠れるモモだけのお気に入りのパジャマを探す旅」
目的地はモモの好きな街「原宿」です。
何年ぶりかしら・・・多分15年以上近寄っていません。週末の竹下通りを目指せる若さはもうないけれど、「お気に入りのパジャマはお気に入りの街」で買うのが、何となくいい気がするのです。原宿駅を降り立った竹下通りの入り口は、なだらかな下り坂。1月の寒空の中、見下ろす人ごみに酔いながら決死の思いで歩き出すママを尻目に、モモはウキウキルンルンと踊るように歩いていきます。
「これカワイイ~!モモ、これがいい!!」
彼女が選んだのは、モフモフな素材の全身真っ黒な上下セパレートタイプで、えりと袖口にヒョウ柄があしらわれ、耳がついたフードにはショッキングピンクの大きなリボン。まるでぬいぐるみの様なパジャマです。
最後に、お決まりのクレープをほおばって無事に旅が終わりました。
さて、その夜。驚くことにモモは一度も掻くことなくグッスリと眠りにつきました。
うそでしょ!?そう思いませんか?私も思いました。
でも次の日も、その次の日も・・・かゆがらずに幸せそうに眠りました。
理由はいろいろ考えることは出来ますが、
「大好きな街で自分が見つけたお気に入りのパジャマ」を着たモモが、
生まれてからずっとやってきた「眠るときに掻く」という毎日の習慣を、いとも簡単に止めたのは、まぎれもない現実。
「掻いて眠れない辛い夜」から「幸せな気持ちで眠る夜」にする習慣に変わった瞬間でした。
「かゆいから掻く」を「掻くからかゆい」に言葉をひっくり返してみたら、そこには「習慣」というクセ者が潜んでいて、それは案外単純な方法で、悪い敵から正義の味方に変えることができるのかもしれない、と信じることができた経験でした。
今夜もきっと、モモはグッスリと幸せに眠ることができると思います。
雫ゆき江
1971年、栃木県宇都宮市生まれ。グラフィックデザイナー・ライター・コラムニスト。
調理師免許を持ち、グラフィック、テーブルコーディネート、ディスプレイ、執筆まで幅広く活動。2004年女児出産。生後10カ月で娘がアトピー性皮膚炎と食物アレルギーを持っていることが判明。そこから始まったアトピー&アレルギーの学びと経験で、育児と仕事の両立に泣き笑い奮闘中。
家族は、夫、娘(小2)、猫3匹(左近オス・萬寿メス・千寿メス)。