アトピーっ子の特効薬 後編
[アトピー・ノート] 雫ゆき江
2015年3月09日 [月]
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アトピー性皮膚炎シンポジウム 清水先生のお話を聴いて
前編でもお話しました参加者からの質問「アトピーに特効薬はありますか?」への清水先生の答えに、もう一つ印象に残っている言葉があります。
アトピーのフィルターを通さないコミュニケーションも必要。
ドキッとしました。
早く治してあげたいと思う一心から、「アトピー」が四六時中、頭から離れないのです。
症状のひどいときには特に、アトピー中心でモモのことを考え、会話や行動していました。
モモの調子が悪くなると、
「何がいけなかったんだろう、このままもっと悪くなっていったら、どうしよう…」
良くなったらなったで「またいつ悪くなるか分からない」という思いが頭をよぎります。
とても楽観的に考えることができませんでした。
いつの間にか、私たち親子の世界の中心が、「アトピー」になっていたのです。
それは間違ってないと思います。子どもがかゆくて辛い姿に、無頓着になれる母親なんていません。
でもアトピーを前提にすべてのことを決めていた私が、モモを見る眼差しは、
「私のかわいいモモ」から、「私のかわいいアトピーのモモ」になっていました。
「アトピーの」というキャッチコピーが常についていたのです。
「アトピーだから、お風呂は長湯しないほうがいいよ」
「アトピーだから、かわいいものより素材の良い服を選ぼうね」
「アトピーだから・・・アトピーだから・・・」
アトピーだから、の次には否定形の注文が入ります。
これが365日続くのです。これではママも子どもも心が寂しく疲れてしまいます。
「アトピー」という色眼鏡をはずして、自分の子どもをありのままに見る時も大切。
そう気づかせてくれた、暖かい清水先生の言葉が胸に染みました。
雫ゆき江
1971年、栃木県宇都宮市生まれ。グラフィックデザイナー・ライター・コラムニスト。
調理師免許を持ち、グラフィック、テーブルコーディネート、ディスプレイ、執筆まで幅広く活動。2004年女児出産。生後10カ月で娘がアトピー性皮膚炎と食物アレルギーを持っていることが判明。そこから始まったアトピー&アレルギーの学びと経験で、育児と仕事の両立に泣き笑い奮闘中。
家族は、夫、娘(小2)、猫3匹(左近オス・萬寿メス・千寿メス)。