もし生まれた赤ちゃんがアレルギーだったら、飼ってる猫はどうするつもりですか?

[アトピー・ノート] 雫ゆき江

2015年2月13日 [金]

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「独身の女性のあなたが猫を飼ったあと、結婚して、もし生まれた赤ちゃんがアレルギーだったら、飼ってる猫はどうするつもりですか?」

強く厳しい口調で質問をしてくる女性は、捨て猫を救うボランティア団体の人でした。
いきなり食らったカウンターパンチのような質問に、私はうろたえました。
突拍子もない質問に思えました。赤ちゃんと、アレルギーと、猫が頭の中で結び付かなかったからです。

そして、その女性は畳み掛けるように、呆れた感じでこう付け加えました。
「実際に赤ちゃんが生まれたら、今まで部屋で飼っていた猫を、真冬のベランダに追いやって病気にさせた人もいるの・・・」

当時25歳の私は、しどろもどろになりながら答えました。
「たとえ・・・ たとえそうなったとしても、捨てるなんてしません。」
結婚すら考えたこともなかったのに、その先の赤ちゃんのことなんて到底想像もできませんでした。さらに、私にはアレルギーがなかったので、その質問の意味も理解することができなかったのです。

子どもの頃から猫との暮らしが当たり前だった私は、上京して一人暮らしをしたら、いつか猫を飼うことが夢でした。
友人の勧めで、捨て猫の里親になることにした私は、簡単に子猫を貰えるだろうと、早速ウキウキしながら近所のボランティアの女性のお宅を訪問したところ、子猫ではなくて、このカウンターパンチの質問を貰ったのです。

結局、ボランティア団体から子猫を譲り受けることはありませんでしたが、この質問は心の中でずっと小さなトゲの様にチクチクと残っていました。
その女性も、小さな命をぞんざいに扱う実情を見てきたからこそ、老婆心で質問されたのでしょう。

この質問の深い意味を知ることになったのは、それから8年後の35歳でした。次々と拾った3匹の猫たちと暮らしていたところに、赤ちゃんを授かりました。生まれた娘はアトピーとアレルギーを持っていました。

質問の言葉が思い浮かびました。
「もし生まれた赤ちゃんがアレルギーだったら、飼ってる猫はどうするつもりですか?」

アレルギーの子と猫。天秤にかけて、どちらかを選ばなければいけないのでしょうか?
共に暮らしていくことは、難しいのでしょうか?

次回、「アトピーの子がペットと暮らす意味」で、その答えのヒントになるお話をしたいと思います。

雫ゆき江

1971年、栃木県宇都宮市生まれ。
グラフィックデザイナー・ライター・コラムニスト。
調理師免許を持ち、グラフィック、テーブルコーディネート、ディスプレイ、執筆まで幅広く活動。2004年女児出産。生後10カ月で娘がアトピー性皮膚炎と食物アレルギーを持っていることが判明。そこから始まったアトピー&アレルギーの学びと経験で、育児と仕事の両立に泣き笑い奮闘中。
家族は、夫、娘(小2)、猫3匹(左近オス・萬寿メス・千寿メス)。

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