アトピーがひどくなったら、困る人は誰? 後編
[アトピー・ノート] 雫ゆき江
2014年9月10日 [水]
おすすめアトピー記事

前編の続きです。
「ママが困るからではなくて、かゆくない方が楽でしょう?」
と言われて、泣いてしまったモモ。その真意はこうでした。
「だって…だって…やっぱりアトピーなのはイヤなんだもん。モモがかゆいと、ママ眠いのに夜いっぱい起きなくちゃならないでしょ?モモはママが大好きだから、ママに辛い思いさせたくないんだもん」
モモは素直に気遣ってくれていたのです。自分より母を優先して考えた結果「アトピーはママが困る」という答えになったのでした。
素直じゃなかったのは私の方。わがままで駄々をこねてるだけだと思い込んでいたのですから。
「モモの気持ち、ちっとも分かってなかったぁ、ごめんねぇ」
ぽりぽり掻きながら泣いている娘をぎゅっと抱きしめて、わたしも泣いてしまいました。
抱っこしていると、モモのぬくもりと湯上りの香りで癒されていく。モモもゆっくりと落ち着いていきました。
アトピーで辛いのはかゆさだけじゃないですね。大好きな人に大変な思いをさせてしまうことへの罪悪感も、小さな心にのしかかっていました。
かゆみには病院の薬、辛い心には抱っこ、が一番の治療法。それは子どもも大人も一緒なんだと思うんです。
みなさんが、最後にぬくもりを感じるほど、ぎゅうっと誰かを抱きしめたのはいつですか?
もし最近そんなことないなぁ、と思ったら試してみてください。
最初は照れちゃって恥ずかしいかもしれませんが、どんなビタミン剤よりも心の栄養になること間違いなしですよ。
雫ゆき江
1971年、栃木県宇都宮市生まれ。グラフィックデザイナー・ライター・コラムニスト。
調理師免許を持ち、グラフィック、テーブルコーディネート、ディスプレイ、執筆まで幅広く活動。2004年女児出産。生後10カ月で娘がアトピー性皮膚炎と食物アレルギーを持っていることが判明。そこから始まったアトピー&アレルギーの学びと経験で、育児と仕事の両立に泣き笑い奮闘中。
家族は、夫、娘(小2)、猫3匹(左近オス・萬寿メス・千寿メス)。