健康な皮膚と皮膚炎が起きている皮膚の構造上の違い

[アトピー・ノート] 松峰啓真

2014年7月22日 [火]

おすすめアトピー記事

健康な皮膚とアトピーの皮膚の違いをご存知ですか?
かさつきがある、乾燥している、色が異なるといった目に見えることもありますが、顕微鏡でみると、アトピー肌と健康な肌では決定的な違いがあります。

まず、健康な皮膚の場合、落ち葉を敷き詰めたように規則正しく角質細胞が並んでいます。そして、その内側には、脂質を豊富に含む細胞が存在しています。この細胞から分泌される油脂が、落ち葉のすきまを埋め、また表面にオイルの膜をつくり、肌の水分の蒸発を防いでいます。

ミルフィーユのケーキを想像してみましょう。

バターを含んだミルフィーユのパイ生地は、適度に水分と油分を含んでいます。そして、ケーキ表面はチョコレートや生クリームでコーティングされていて、ケーキのなかの水分がしっかり保たれています。
しっとりとサクサクがあいまっておいしそうですね。

一方、アトピーの肌は、普段から乾燥している状態です。
そひて、炎症が生じている肌では、角質細胞の間にむくみ(水がたまっている状態)が生じ、細胞と細胞の間が大きく開いています。
このむくみが強くなると表皮内で水疱ができていきます。また、角質層の表面もめくれてしまい、様々な外的影響が皮膚の中に入ってきてしまいます。

これもまた、ミルフィーユに例えることができます。普段の乾燥状態は、ミルフィーユの表面のチョコレートや生クリームのコーティングが足りなかったり、塗り忘れてしまっているような感じです。クリームを塗っていないので、中の方が乾燥してしまいます。
そして、炎症が起きている状態は、コーティングがきちんとされていないミルフィーユのパイ生地が割れ、割れた部分に過剰な水分がしみこみパイ生地が柔らかくなりすぎているようなイメージです。

そして、パイ生地が大きく割れて、表面のチョコレートや生クリームのきれいなコーティングが壊されている感じです。おいしそうではありませんね。ケーキの中は乾燥してしまっているし、外側はぼろぼろです。大げさに言うと、ケーキの上からフォークをさして、パイ生地が立ち上がり、中身がはみ出てしまったような状態です。

炎症が起きているときのアトピーの肌と健康なときの肌ではこのような違いがあるのです。
おいしそうできれいなミルフィーユを作っているイメージで、お肌を保湿してみてくださいね。

松峰啓真

ファルマボタニカ株式会社 研究開発部 品質管理室 室長
薬剤師。東京理科大学卒。2年間の米国留学を経て、アレルギー専門クリニックの処方箋取り扱い薬局で薬剤師として勤務。2008年より現職に就任。アレルギー対応スキンケア製品の輸入販売、自社開発製品の品質管理・製品開発に携わる。2010年にオーガニック植物を使用した精油とスキンケアのブランド「Organique」の立ち上げに参画し、現在はアサイーオイルをはじめとする高機能オイルの研究に注力している。マスターズ水泳でも活躍中。

記事の見出し、記事内容、およびリンク先の記事内容は株式会社QLifeの法人としての意見・見解を示すものではありません。
掲載されている記事や写真などの無断転載を禁じます。

興味のあるタグをクリック