かゆくて、ごめんね。 後編
[アトピー・ノート] 雫ゆき江
2014年6月09日 [月]
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前編では、私がモモに対してカッとなってしまったことをお伝えしました。今回はモモの言葉に注目して下さい。
すまなそうに肩を落として布団の上にしゃがんでいたモモは、うつむいたまま「はい…」と小さな声で返事をしました。
冷静に考えれば、眠り始めだからかゆくなるのですから、前もってかゆくなっておくことなど、できるわけがないのです。
でも、その時の私は疲れと眠さが優先してカッとなってしまい、その後もイライラが消えませんでした。そうして薬を塗り始めた私に、「ごめんね、ママ、起しちゃって…痒くなっちゃって、ごめんね…」と、モモが言ったのです。
ハっと我に返りました。
起こさずにはいられないほどかゆかったモモの気持ちを、一ミリも想像してやれなかった自分のひどい仕打ちに、やっと気づいたのです。
私は申し訳ない気持ちで一杯になり、頭を下げて謝りました。
「アトピーになったのは、モモのせいじゃないのにね。ママ、間違ってた、ごめんね」
モモは、笑顔で「いいよ」と、言ってすぐに許してくれました。
子どもは、許しの天才。間違ったことも、ひどい仕打ちも、相手が心から言う「ごめんなさい」の一言で許すことが簡単にできちゃうんですね。
小さな体の中に、大人よりもずっと、大きくて広い心が宿っている。
許してくれたことに「ありがとう」と言いながら、見習わなきゃなぁ…と心の中で反省。
穏やかな気持ちになって、あくびをしながら薬の続きを塗りました。
雫ゆき江
1971年、栃木県宇都宮市生まれ。グラフィックデザイナー・ライター・コラムニスト。
調理師免許を持ち、グラフィック、テーブルコーディネート、ディスプレイ、執筆まで幅広く活動。2004年女児出産。生後10カ月で娘がアトピー性皮膚炎と食物アレルギーを持っていることが判明。そこから始まったアトピー&アレルギーの学びと経験で、育児と仕事の両立に泣き笑い奮闘中。
家族は、夫、娘(小2)、猫3匹(左近オス・萬寿メス・千寿メス)。