アトピー性皮膚炎とは
2013年12月24日 [火]
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アトピーとはどんな病気か
アトピー性皮膚炎は慢性化しやすい病気です。発症すると皮膚にかゆみを伴う赤い発疹などの症状があらわれ、良くなったり、悪くなったりを繰り返します。
一般的に、乳児(生後1年未満)では2か月以上、その他の年齢では6か月以上にわたって症状が続く場合、アトピー性皮膚炎と診断※1されます。
また患者の多くは、「アトピー素因」と呼ばれるアレルギー体質を持っています。
アトピー素因とは?
- 家族歴・既往歴があるか
両親や家族、本人が気管支炎喘息、アレルギー性鼻炎・結膜炎、アトピー性皮膚炎のうちいずれか、または複数にかかっていたか
- IgE(免疫グロブリンE)抗体を産生しやすいか
まれに、アトピー素因を持っていないのに、アトピー性皮膚炎を発症する患者さんもいます。アトピー素因はアトピー性皮膚炎になる可能性を高める要因の一つではありますが、アトピー性皮膚炎を決定付ける条件ではないのです。
アトピー性皮膚炎の多くは、乳幼児期に発病します。生後2〜3か月が最初の発症となり、顔に小さなぶつぶつができます。ほとんどのケースで、良くなったり悪くなったりを繰り返しながらも、成長に伴って自然に治っていきます。
幼・小児期のアトピーは、皮膚が乾燥しているのが特徴です。「ひじ・ひざ」の内側の皮膚がごわごわした状態になったり、耳たぶが切れたりします。多くは自然に治りますが、患者の一部は思春期・成人になるまで、その症状が続きます。
大人のアトピーは、顔・首・胸部などに強く症状が出ます。赤味を帯びたり、色素沈着が起こったりするのが特徴です。最近では大人になってから発症したり、悪化したりするケースも増えています。
アトピーの主な症状
アトピー性皮膚炎の特徴は、かゆみを伴う湿疹です。症状や経過にかなりの個人差がありますが、幼少期は主に湿潤性、思春期以降は主に乾燥性の症状が出ます。
アトピー性皮膚炎の症状
- かゆみ
- 特徴的な皮膚の湿疹とできやすい部位
- 湿疹
- 紅斑(赤い発疹)、湿潤性紅斑(ジクジクした赤い発疹)、痂皮(かさぶた)
鱗屑(角質細胞がはがれかかった状態で皮膚に付着している)、皮膚の表面が固くなる など - 部位
- 額、目や口の周囲、唇、首の周囲、手足の関節、胴体など、体の左右、同じような場所に見られる。
- 慢性化
症状が良くなったり、悪くなったりを繰り返す。
またアトピー性皮膚炎は、喘息やアレルギー性鼻炎・結膜炎など、他のアレルギー疾患を併発しやすい病気であることにも注意しましょう。アトピー性皮膚炎患者の中でも、特にぜん息やアレルギー性鼻炎を発症している患者の割合は高いと言われています。
他にも、皮膚の一部のバリア機能が低下するために起こる皮膚の感染症や、白内障など目の周りの病気にも注意が必要です。ただし、目の病気はアトピー性皮膚炎が原因で起こるわけではなく、目の周りに発疹が出た際、無意識のうちに目の周りをかいたり叩いたりした際に、眼球が圧迫されることで発症します。また、まぶたにステロイド外用薬を塗ると、緑内障を発症する危険がありますので注意しましょう。
注意が必要な他の病気
- その他のアレルギー疾患
喘息、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、花粉症 など
- 皮膚の感染症
伝染性膿痂疹(とびひ)、カポジ水痘発疹症、伝染性軟属腫 など
- 目の周りの病気
白内障、網膜剥離、網膜裂孔 など
アトピーの原因は何か
「アトピー性皮膚炎(Atopic Dermatitis)」は、「奇妙な、場違いな、とらえどころが無い」を意味するギリシャ語「atopos」に由来し、アメリカ人皮膚科医のザルツバーガー氏がはじめて提唱した病名です。
その原因の大部分は、いまだに詳しく分かっていません。しかしアレルギー体質の人が、アレルギーの原因物質による外的な刺激を受けて発症するのであろう、と考えられています。また、皮膚のバリア機能の低下・皮膚の乾燥も要因の一つになります。また、最近では、アトピー性皮膚炎の患者は皮膚の一番表面の角質層にある「セラミド」が、普通の人より少ないということが分かってきました。
病気の原因はしっかりと判明していないながらも、ハウスダストやダニなどアレルギー原因物質の除去が有用であることが、信頼性の高い臨床研究※2で確認されています。また皮膚の清潔を保ち、しっかり保湿することが、専門家の推奨する治療になっています。
注釈
※1 日本皮膚科学会アトピー性皮膚炎診療ガイドラインによる
http://www.dermatol.or.jp/news/news.html?id=166
※2 Smethurst D, Macfarlane S. Atopic eczema. Clin Evid. 2002;8:1664-1682.