アトピー性皮膚炎の季節変動、夏に向けて 前編

[清水良輔先生の診察日記] 清水良輔先生

2013年11月18日 [月]

おすすめアトピー記事

皮ふ科しみずクリニック院長、清水良輔です。

アトピーは季節による症状の変化があると言われますが、私は多くの患者さんとお付き合いさせていただいた経験から独自の考え方を持っています。
医学根拠のないお話ですがご自分の体験とすり合わせて考えてみてください。

アトピーの患者さんが悪いと感じている季節は様々で疾患に共通の悪い季節はありません。
春が悪い、冬が悪い、夏が苦手、一般的に過ごしやすいと思われる秋でさえ悪いと思っておられる方がいらっしゃいます。
特に多いのは季節の変わり目が悪いと感じている方たちです。
ところが何年か繰り返している内に苦手な季節が変わってくる方が多いのです。

1度苦手と感じてしまうと脳はこのことを記憶し意識しなくてもその季節になると、「季節の何が悪いか」とは関係なく、免疫的な反応を起こしてしまうのだと考えています。
このような現象はサバのアレルギーがある人に催眠をかけサバを食べたと暗示をかけるとサバを食べたと同じように蕁麻疹が起こるという報告があり、脳の条件づけ反応と説明されています。
したがって、何かのきっかけで苦手だと思っている季節をマシに過ごせると、また脳の記憶も変わってくるのでしょう。
そのため、苦手な季節が変わってくるのだと考えられます。

この脳の条件づけの問題はアトピーと季節増悪を考える非常に重要な問題と考えています。
このコラムでは得に夏に関する問題を取り上げてみたいと思います。
暑いのが苦手な人の多くはあまり汗をかけない人だろうと思います。
汗をかけないので熱がこもってしまい暑い環境、長湯、熱い湯、サウナなどが苦手で掻くことが増えてしまいます。急に太陽を浴びたときに赤外線の熱作用で痒くなり、掻いてしまいそれを紫外線のせいだと思い込んでしまう方が非常に多いと感じています。

清水良輔先生

皮ふ科しみずクリニック院長(皮膚科専門医) 1953年、神戸市生まれ。
白衣を着ない出で立ちと、髭・長髪がトレードマーク。
兵庫県神戸市にて、皮膚アレルギー疾患を専門とし長年診療を続け、これまで診てきたアトピー性皮膚炎の患者数は3万人以上。
約15年、国内の皮膚科としては唯一、心身医学的な観点からアトピー性皮膚炎を診療し、数多くの患者さんを精力的に治療している。
趣味:料理、旅行、スキー、サッカー観戦、競馬、南の島で心理本を読むこと
好きなこと:食べること
座右の銘:次善の策

略歴

1978年帝京大学医学部卒業
1983年神戸大学医学部皮膚科 助手・医局長
1994年神戸労災病院皮膚科 部長
2001年神戸大学医学部臨床助教授兼任
2002年神戸市灘にて開業(皮ふ科しみずクリニック) 現在に至る

記事の見出し、記事内容、およびリンク先の記事内容は株式会社QLifeの法人としての意見・見解を示すものではありません。
掲載されている記事や写真などの無断転載を禁じます。