アトピーとステロイド

[清水良輔先生の診察日記] 清水良輔先生

2013年11月03日 [日]

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皮ふ科しみずクリニック院長、清水良輔です。

ステロイドがアトピーの治療に有効であることは医学的に証拠があり、ステロイドを使って皮膚の炎症を抑えることが、アトピー性皮膚炎治療の中心的な役割を担っています。
しかし、2ヶ月以上連用して止めた時と使う前を比較した時に、症状が改善しているという証拠はないといわれています。
ステロイドという薬に関しては関心をお持ちのかたが多いと思いますのであくまで経験的なステロイドに対する考え方をお話ししたいと思います。

ステロイドの最大の長所は湿疹のストレスから解放してくれることです。
そして最大の短所は、症状をいつもステロイドで抑えるという方法を使っていると、どうしたら本当に病気がよくなるかという自分なりの対処法を積み重ねられないことです。

私はステロイドを使うことで、アトピーがもたらした悪循環から抜け出すきっかけになれば理想的であると考えています。ステロイドを使う前よりステロイドを止めてからのほうが調子良ければ、その悪循環から抜け出せたといえるでしょう。
プラスになる目標がある時(使うことで何かが実現する、使うことで何かの行事が遂行しやすくなる、使うことで何かの不安から解放される、など)にしっかり一週間くらい使い、その後は一旦休むというメリハリのある使い方ができれば理想です。
ステロイドのことはまたお話しましょう。

清水良輔先生

皮ふ科しみずクリニック院長(皮膚科専門医) 1953年、神戸市生まれ。
白衣を着ない出で立ちと、髭・長髪がトレードマーク。
兵庫県神戸市にて、皮膚アレルギー疾患を専門とし長年診療を続け、これまで診てきたアトピー性皮膚炎の患者数は3万人以上。
約15年、国内の皮膚科としては唯一、心身医学的な観点からアトピー性皮膚炎を診療し、数多くの患者さんを精力的に治療している。
趣味:料理、旅行、スキー、サッカー観戦、競馬、南の島で心理本を読むこと
好きなこと:食べること
座右の銘:次善の策

略歴

1978年帝京大学医学部卒業
1983年神戸大学医学部皮膚科 助手・医局長
1994年神戸労災病院皮膚科 部長
2001年神戸大学医学部臨床助教授兼任
2002年神戸市灘にて開業(皮ふ科しみずクリニック) 現在に至る

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