阪神大震災とアトピー性皮膚炎そして東日本大震災 4

[清水良輔先生の診察日記] 清水良輔先生

2013年12月04日 [水]

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皮ふ科しみずクリニック院長、清水良輔です。

自分も被災し被災地においてアトピー性皮膚炎を診療して感じたことを箇条書きにまとめてみました。

  1. ストレスとは自覚しにくいものであること。
  2. 地震のような超大なストレスよりも、日々の出来事から生じるストレスに反応して悪くなりやすいということ。
  3. アトピーが良くなるのは自分自身の力によるところが大きい。
  4. アトピーの人は食事やスキンケアのことを必要以上に気にしているということ。

1は、まさに自分自身の経験でパワーダウンしている自分に気付けなかったという体験からきています。

2は、地震のような超大なストレッサーに対して当初もっと多くの人が増悪すると考えましたが、予想に反して軽快した例を思ったより数多く経験したこと。著明軽快した人が被災の程度のひどい群に多く、被害のほとんどなかった近隣の地域にむしろ増悪した人が多かったという経験から思いました。

3は、直後より増悪した方々もろくに医療機関にかかれないにもかかわらず、ゆっくりと軽快していったという現象がみられたことから強く感じました。

4は、客観的なデータでは、食事・入浴などと増悪に関して有意な相関性は見られなかったのに対して、症状悪化の自分自身が考える理由は食事やスキンケアと答えた方が相当数おられたからです。

これらの診療体験は私自身のアトピー治療におけるみたてのみならず、他の皮膚病診療にも大きな影響を与えたと言えます。しかしながら震災後は神戸の患者さんは被災の程度の大小にかかわらず、アトピー以外の方もご自分からストレスの話しやストレスと病気の関連を口にする方が非常に多くなりました。

そして、この度の東日本大震災では過去に被災した地域における、アトピー性皮膚炎への影響を経験することになりました。

清水良輔先生

皮ふ科しみずクリニック院長(皮膚科専門医) 1953年、神戸市生まれ。
白衣を着ない出で立ちと、髭・長髪がトレードマーク。
兵庫県神戸市にて、皮膚アレルギー疾患を専門とし長年診療を続け、これまで診てきたアトピー性皮膚炎の患者数は3万人以上。
約15年、国内の皮膚科としては唯一、心身医学的な観点からアトピー性皮膚炎を診療し、数多くの患者さんを精力的に治療している。
趣味:料理、旅行、スキー、サッカー観戦、競馬、南の島で心理本を読むこと
好きなこと:食べること
座右の銘:次善の策

略歴

1978年帝京大学医学部卒業
1983年神戸大学医学部皮膚科 助手・医局長
1994年神戸労災病院皮膚科 部長
2001年神戸大学医学部臨床助教授兼任
2002年神戸市灘にて開業(皮ふ科しみずクリニック) 現在に至る

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