ステロイド外用剤、副作用を起こさない工夫

皮ふ科しみずクリニック院長、清水良輔です。

ステロイドがアトピー治療に有効であるという医学的証拠がありますが、長期連用（数か月以上）すると止めた時に使用前より良くなるという証拠はありません。
誤解のないように申し上げておきますが、数カ月連用して止めると必ず増悪するということではありません。

個人的にはアトピー治療にステロイドを使っても良いし、使わなくても良いし、使って止めることもできると考えていますが、使うなら止めたときに使用前より良くなっていることが重要だと思います。

ステロイドは漫然と使用するのではなくアトピーが良くなるのに役に立つ使い方が出来れば良いと考えています。
医学的にも副作用を減らすいろいろな工夫がなされてきました。
まずはランクダウンという考え方、強いステロイド剤で一旦きれいにしておいてだんだんと弱いものに変えてゆくというやり方です。

例えばベリーストロングというランクのステロイドで2週間外用しきれいになっても中止せずストロングに変える、やがてウイークにランクを落として、いずれは中止を目指ざすというやり方です。
経験的にはランクダウンすると症状が再燃してきたりしてなかなかコントロールが出来ない症例が多く、ステロイドが弱くなっても長期連用になるケースが多いという印象をもっており個人的にはあまりお勧めではありません。

次にリアクティブ療法と呼ばれ連用を避けるぬり方です。
調子が悪いときにきれいになるまで、例えば1週間ぬってできるだけ休薬するというやり方です。
休薬している間にアトピーが良くなるために別の何かを実践してみよう（例えば掻く事を減らすチャレンジすることなど）という強いモチベーションのある方にはお勧めですし、1週間も塗れば1カ月以上外用しなくて良いというような方は何の問題も起こらないと考えます。
しかし、調子が悪い時には1週間もすればまたひどくなってまた使ってしまう、結局ひと月のうち、約半分から三分の二の日数は使ってしまうという結果になってしまう方もおられます。

最もお勧めはプロアクティブ療法といって、きれいになるまでステロイドを連用し（通常約2週間）きれいになっても先手を打って3日に一日は塗る。
調子が良くても塗り続け（といっても3日に一日なので月10日しか塗らないので副作用の心配はいりません）血液のモニターを見ながら4日に一日、5日に一日と塗る間隔をあけてゆく方法です。
きれいなまま止めてゆける方が多くこれからステロイドを使おうという方にもこれからステロイドを止めたいという方にもお勧めです。
次のコラム、「ステロイドを止めたい方、これから使おうと思っている方」の中でもう少し詳しく触れてゆきたいと思います。