悪化因子に気をつけ、再発を防ぎましょう 2

[再発予防と生活するうえで気をつけたいこと] 古江増隆 九州大学大学院皮膚科学教授

2015年11月05日 [木]

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悪化や再発のきっかけは、身近にあります

アトピー性皮膚炎を再発させないためには、皮膚を乾燥から守って、バリア機能を低下させないことがとてもたいせつです。そのために日常生活では保湿外用薬を使ったスキンケアを続けて、皮膚への刺激をできるだけ避けるようにしましょう。

発症や悪化、再発のきっかけになる因子としては、ダニ、汗、花粉、カビ、動物の毛、住宅建材の化学物質など、さまざまなものがあげられます。そして、アトピー性皮膚炎というと、特定の物質がアレルゲンとなって発症すると思われがちです。ところが、実際は皮膚のバリア機能の低下が発症の根本にあるため、アレルゲンとの関係は必ずしもはっきりしないことが多いのです。むしろ、日常生活の種々の皮膚への刺激のほうが、大きく影響しているといえます。髪の毛、セーターなどの衣類、寝具、石鹸(せっけん)、ボディシャンプー、シャンプー、リンス、トリートメント、香水、化粧品、食べこぼしの汚れなど、身のまわりのほんのささいな刺激がきっかけということも少なくありません。

また、アトピー性皮膚炎は、季節、環境、生活スタイル、食生活など物質以外の変化によっておこることもあり、デリケートな病気といえるかもしれません。アレルゲンとなる物質を除去することだけにとらわれることなく、毎日のスキンケアで皮膚を保湿して、できるだけバリア機能を保つように心がけましょう。

再発や悪化のきっかけはいろいろあります

(正しい治療がわかる本 アトピー性皮膚炎 平成20年10月30日初版発行)

古江増隆 九州大学大学院皮膚科学教授

1980年東京大学医学部卒業、同年東京大学医学部附属病院皮膚科学教室入局。
85年同病院皮膚科医局長。
86年、アメリカのNational Institutes of Healthの皮膚科部門に留学、88年東京大学医学部附属病院皮膚科復職。
同年東京大学皮膚科学教室講師、病棟医長。
92年山梨医科大学皮膚科学教室助教授、95年東京大学医学部皮膚科助教授。
97年九州大学医学部皮膚科教授、2002~04年九州大学医学部附属病院副院長兼任。
08年より九州大学病院油症ダイオキシン研究診療センターセンター長兼任。
02~04年厚生労働省研究班「アトピー性皮膚炎の既存治療法のEBMによる評価と有用な治療法の普及」主任研究者、05~08年同「アトピー性皮膚炎の症状の制御および治療法の普及に関する研究」主任研究者。

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