治療に使用する2種類の外用薬 1

[これが基本となる正しい治療です] 古江増隆 九州大学大学院皮膚科学教授

2014年9月04日 [木]

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アトピー性皮膚炎では、患部にステロイド外用薬やタクロリムス外用薬を塗って治療します。この2つの外用薬は症状の改善に有効ですが、患者さんによっては使っても十分な効果がみられないことがあります。このような場合、患部に必要な量を塗っていないことなどが考えられます。そのため、外用薬の使い方は治療前に確実に覚えて、正しく実践していく必要があります。

ステロイド外用薬を適切に使いましょう

ステロイド外用薬の種類

アトピー性皮膚炎に使用するステロイド外用薬は、5つのクラスに分かれています(下記の表参照)。薬にふくまれる薬効成分の種類と量、つまり作用の強さによって、ストロンゲスト(I群)、ベリーストロング(II群)、ストロング(III群)、ミディアム(マイルド:IV群)、ウィーク(V群)のクラスがあります。

薬の作用は、クラス名が示すとおり、ストロンゲストがもっとも強く、ウィークがもっとも弱くなります。また、効果と同様に副作用もクラスが強いほどおこりやすいため、医師が効果と副作用のバランスを考えたうえで、どのクラスのステロイド外用薬を用いるかを決めます。

ステロイド外用薬のランクと薬品

ステロイド外用薬の適量

ステロイド外用薬を皮膚にしっかりと作用させるには、正しい量、つまりその患者さんに合った適量を塗ることが重要です。軟膏やクリームでは、チューブを絞って、大人の人さし指の先から第一関節まで押し出した量は、約0.5g。この量で大人の手2枚分(両手分)の広さが目安です※1。現在、日本で処方されているチューブ入りのステロイド外用薬は、1本が5gです。これで大人の手20枚分の面積が塗れる計算になります。また、ローションタイプでは、1円玉大の量で大人の手2枚分の面積が適量です。

(※1)Long CC, Finlay AY.:The finger-tip unit - a new practical measure. Clin ExpDermatol 1991;16: 444-447
【概要(和訳)】
18~75歳の30人の湿疹もしくは乾癬の患者さん30人に対し、ステロイド外用薬のベタメタゾンを人さし指の先から第一関節まで押し出した量を「Finger Tip Uni(t FTU)」として、体の各部分に薄く均一に塗れる量を調べた症例集積研究。その結果、両手のひらは1FTUで塗れることがわかりました。

患部の広さと適量の目安

  • 大人の手2枚分→1回0.5裼(チューブ1/10本分)
  • 大人の手4枚分→1回1裼(チューブ1/5本分)
  • 大人の手10枚分→1回2.5裼(チューブ1/2本分)
  • 大人の手20枚分→1回5裼(チューブ1本分)
ステロイド外用薬の適量の目安

ステロイド外用薬の塗り方

患部が広いときは、指で薬を量って塗るのはたいへんです。その場合は、患部が大人の手の何枚分に相当するか、あらかじめ見当をつけて、塗る前に適量をお皿などに絞り出します。

たとえば、大人の手10枚分では、チューブの半分量を絞り出します。これを指ですくって、少量ずつをちょんちょんと患部全体に置いて、手のひらで広げるようにして塗ります。塗るタイミングは、入浴やシャワーのあと、皮膚に保湿外用薬を塗ってからがお勧めです。皮膚が清潔になって、バリア機能を果たす皮膚のうるおいも、ある程度、保たれているからです。

また、治療の最初は、患部にまんべんなく塗ります。3~4日たつと皮膚の状態がよくなってきますので、そうしたら、皮膚をつまんで硬い部分だけに塗るようにします。2~3週間ぐらい塗り続けると、硬かった皮膚もほかと同じようにやわらかくなります。

症状が改善したら、塗る回数を1日1回に減らします。ただし、ミディアム(マイルド)タイプやウィークタイプを使っている場合は、症状がよくなっても1日2回続けたほうが経過がよいという報告もあります※2

(※2)Koopmans B, Lasthein Andersen B, et al.: Multicentre randomized doubleblind-study of locoid lipocream fatty cream twice daily versus locoid lipocream once daily and loco-base once daily. J Dermatol Treat. 1995;6(2):103-6.
【概要(和訳)】
12~81歳のアトピー性皮膚炎の患者さん150人に対し、ミディアム(マイルド)クラスのステロイド外用薬の酪酸ヒドロコルチゾンを1日2 回塗る群と、酪酸ヒドロコルチゾンと偽薬をそれぞれ1日1回ずつ塗る群に分け、二重盲検ランダム化比較試験を行いました。4週間後に効果をみたところ、皮膚状態はどちらも改善していましたが、改善度を医師と患者さん本人に評価してもらったところ、1日2回塗った群のほうが有意に改善していました。

皮膚の状態がよくなってきたら

ステロイド外用薬の治療効果を上げる4つのポイント

  1. ステロイド外用薬は、皮膚の薄い部位と厚い部位では薬の吸収率が違います。そのため、クラスの違う薬を一度に何種類か処方することがよくあります。
  2. ステロイド外用薬は、同じクラスのなかにたくさんの種類の薬があり、作用が少しずつ違います。また、どのようなタイプのアトピー性皮膚炎に、どのステロイド外用薬がもっとも効果的なのかということは、個人差があり一定していません。そこで、医師は同じクラスのステロイド外用薬を何種類も用意しています。最初に使ったステロイド外用薬があまり効かないようなときは、別の薬に変更して様子をみていきます。
  3. ステロイド外用薬の剤形には、軟膏、クリーム、ローションがあり、皮膚に塗ったときの使用感に違いがあります(下記の図参照)。たとえば、軟膏はヒリヒリしにくいが、ベトベトしやすい、ローションは使用感がよいが、ヒリヒリしやすいなど、それぞれ特徴があります。処方されたステロイド外用薬が患部に塗りにくいなど、使用に問題があるときは、担当医に相談してみましょう。
  4. よくなってきたからといって、完全に軽快していないうちに、急にステロイド外用薬をやめると、症状がすぐにぶり返してしまいます。急にやめるのではなく、塗る回数を減らすことがたいせつです。回数の減らし方などは必ず担当医に相談しましょう。
ステロイド外用薬の剤形とおもな特徴

(正しい治療がわかる本 アトピー性皮膚炎 平成20年10月30日初版発行)

古江増隆 九州大学大学院皮膚科学教授

1980年東京大学医学部卒業、同年東京大学医学部附属病院皮膚科学教室入局。
85年同病院皮膚科医局長。
86年、アメリカのNational Institutes of Healthの皮膚科部門に留学、88年東京大学医学部附属病院皮膚科復職。
同年東京大学皮膚科学教室講師、病棟医長。
92年山梨医科大学皮膚科学教室助教授、95年東京大学医学部皮膚科助教授。
97年九州大学医学部皮膚科教授、2002~04年九州大学医学部附属病院副院長兼任。
08年より九州大学病院油症ダイオキシン研究診療センターセンター長兼任。
02~04年厚生労働省研究班「アトピー性皮膚炎の既存治療法のEBMによる評価と有用な治療法の普及」主任研究者、05~08年同「アトピー性皮膚炎の症状の制御および治療法の普及に関する研究」主任研究者。

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