どんな症状が現れるのでしょうか 4

[病気に対する正しい知識] 古江増隆 九州大学大学院皮膚科学教授

2016年10月20日 [木]

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目の病気に気をつけましょう

目のまわりに皮疹ができた場合、アトピー性皮膚炎では、白内障や網膜剥離(はくり)(網膜が眼底からはがれた状態)、網膜裂孔(れっこう)(網膜が裂けたり、穴があいたりする)になる危険性があるので注意が必要です。ただし、これらの目の病気は、アトピー性皮膚炎が原因でおこるわけではありません。無意識のうちに目のまわりの皮疹をかいたり、目をこすったり、たたいたりすることで眼球が圧迫されて、水晶体や網膜に障害がおこり、発症するのです。

白内障や網膜剥離などを防ぐためには、目のまわりの皮疹を早く治すことが先決です。弱いクラスのステロイド外用薬なら、目の周囲の皮膚に塗ることができるので、担当医とよく相談してみましょう。

なお、ステロイド外用薬を塗ると白内障になるという説がありますが、これはまちがいです(ただし、飲み薬のステロイド薬では、まれに白内障になることがあります)。

また、まぶたにステロイド外用薬を塗ると緑内障を発症する可能性があるため、こちらは注意が必要です。

目の合併症に気をつけましょう

(正しい治療がわかる本 アトピー性皮膚炎 平成20年10月30日初版発行)

古江増隆 九州大学大学院皮膚科学教授

1980年東京大学医学部卒業、同年東京大学医学部附属病院皮膚科学教室入局。
85年同病院皮膚科医局長。
86年、アメリカのNational Institutes of Healthの皮膚科部門に留学、88年東京大学医学部附属病院皮膚科復職。
同年東京大学皮膚科学教室講師、病棟医長。
92年山梨医科大学皮膚科学教室助教授、95年東京大学医学部皮膚科助教授。
97年九州大学医学部皮膚科教授、2002~04年九州大学医学部附属病院副院長兼任。
08年より九州大学病院油症ダイオキシン研究診療センターセンター長兼任。
02~04年厚生労働省研究班「アトピー性皮膚炎の既存治療法のEBMによる評価と有用な治療法の普及」主任研究者、05~08年同「アトピー性皮膚炎の症状の制御および治療法の普及に関する研究」主任研究者。

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