兄が寝たきり寸前になっていた

[アトピー・ノート] 赤城智美

2015年3月02日 [月]

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2歳上の兄がアトピー性皮膚炎です。

小さい頃から症状があったりすっきり治ったりしていたので、波があるんだなと思っていました。

兄は、大学受験をきっかけに高3から1人暮らしを始めて他県の大学に受かってからは通える距離なのにわざわざ引っ越して、遠くに行ってしまいました。

母はずっと心配していて、時々悲しそうな顔をするので、私はそのことがずっと気になっていました。

兄が大学3年になってすぐぐらいの頃、遠出したついでに兄のアパートに行ったら、アトピーがとても悪くなっていて、起き上がるのもやっとの状態になっていました。

心配になってそのまま2~3日泊めてもらったら、兄は気を使って、近所の見晴らしのいい所まで散歩に誘ってくれたり、たまたま開かれていた落語の会に連れて行ってくれたりしました。

最初に会った時より、数日たってからの方が体調が良さそうなので「私が部屋を片付けてあげたからかな?」とふざけて言うと、「外にずっと出ていなかった」「人と話すのはとても久しぶり」と、ポツリポツリこの頃の兄の暮らしぶりを話してくれました。

そんなに仲の良い兄妹ではなかったけれど、なんだか泣けてきて、何とかできないものか、気持ちがあふれて思いのたけを色々ぶつけてしまいました。

兄はうるさそうな、面倒くさそうな顔をしていましたが、私が帰り支度を始めると、「心配すんな」と一言言いました。それきり兄のアパートには行っていませんが、兄は2カ月に1回くらいご飯を食べに家に帰ってくるようになりました。

母は少しうれしそうです。兄もあの時よりはずっと落ち着いて、よく見ないと皮膚の症状はわからないくらいになっています。

訪ねて行って、泣いて騒いで兄には悪かったなと思う反面、私なりの想いを伝えることができてよかったと思っています。
あの時どうしてあんなにひどい状態になっていたのか、実は怖くていまだに聞いていません。そのうち話してくれないかなと思っています。

赤城智美

NPO法人 アトピッ子 地球の子ネットワーク専務理事/事務局長。
アトピー・アレルギー性疾患の患者とその家族、子どもや女性の暮らしを支援することをとおして、人と自然が共生し多様な価値を認めあい、誰もが共に生きることができる社会の実現をめざして活動する、発足18年目のNPO法人。電話相談、調査研究、イベント企画立案と実施、講師派遣、執筆、電話相談窓口開設や開設後のサポート、他商品開発や表示についてのアドバイスも行っている。 Webサイト「食物アレルギー危機管理情報(FAICM)」運用中

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